雨上がりの朝、妻がエライひととメシを食っているあいだ、ワシントンDCの古い住宅地を散歩した。
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ところどころに売り家のサインが出ているのを見て、12年前の苦い経験を思い出した。
アメリカに移住するため、わたしたちは東京でマンションを売りに出していた。
新築で買って4年たらず、大切に使ったから内部はピカピカ。
もともと国外移住のための売却をにらんで値落ちしにくい物件を選んだことが奏功して、仲介の不動産屋さんは思いのほか高い売却額を提示してくれた。
売値はそのまま移住の軍資金になるから有難い。期待を込めてチラシを用意し、いざ売り出そうとしたときに問題がおきた。
同じマンションの住人が驚くほど安い価格で売りに出したのだ。
たとえば7000万円の物件を6000万円ちかくで売る感じ。
なにか売り急ぐ事情があったのだろうが、これがわたしたちにとって大きな損害になった。
不思議なもので不動産ってのは、昨日まで評価額7000万円だった物件でも、同じマンション内で6000万円で売る人が現れた瞬間、そっちが市場価格ということになってしまうものらしい。
世に言う「実勢価格」というやつですね。
そういうわけで我が物件は、大幅に値下げして売り出さざるをえなくなってしまった。
この件でムズムズさせられたのは、その売主がわたしの勤め先のセンパイであったこと。
なんでだろうね、知らないひとだったら腹の立てようもないだろうに、知人だとなんか面白くない。
ご本人から伺ったところでは、気に入って買ったマンションだったが(そりゃそーだろ)奥様のお仕事のために広いスペースが必要となり、戸建てに乗り換えることになった。
話のハシバシからうかがえたのは、現在のマンションも今回の戸建ても嫁はん実家(えらい裕福で娘に習い事いろいろさせてきた)からバカになんねえ金額が出ているらしいこと。
お金の心配ないんだったら安値でとっとと始末してパーッと引越しぃ!は当然の流れ。
親からは1円ももらうことなく自腹100%で家を買ったわたしたちの乾杯完敗でありました。
「実勢価格」がもどってくるまで待って、当初の希望価格で売ることはできたかもしれない。
だが渡米をひかえたわたしたちは、妻の大学院入学日が迫っていたこともあり、そこでがんばるわけにはいかなかった。
この経験、タイトルにあるような「失敗」ではないが、ひとさまを恨むことなく生きていきたいという願いをこめ、敢えてこうしてみた。
若葉でこころを洗いましょう。
とかいって煩悩だらけの俗世にぴょーんと戻ってくると、わたしのなかには不動産へのキョーフ感みたいなものがうっすらと残っている。
たとえばレンガと桜が美しいこのような家を見上げてひょえーとなった次の瞬間、
「少なく見積もっても4~5億円はしそうなこのお屋敷、売りに出すときナンカあったらいくら損するのやろ・・・」
と、どう考えても現実味ゼロの数字を思い浮かべてビビったりするのである。
何の生産性もない話やったね。
ペニーの2回目の血液検査に行ってきた。
前回のデータと比較して問題が見つかるのかどうか、結果の判明は明日になりそう。
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