Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

エグい高速道路

実に多くのことを語りかけてくる道路だった。タイ国境に接したビエンチャンから一路北に向かい、山岳地帯を抜けて中国国境をめざす高速道路。そうですもちろん建設費2兆円は中国がラオスを抱きすくめるようにして融資したもので、将来これが返済不能になればラオスいったいどうなってしまうんやと世界が固唾を飲んで見守る巨大プロジェクト(ちなみにラオスの人口738万は埼玉県と同等、国家予算5700億円は埼玉県の1/3)。

総延長の1/4にあたる111kmが完成したのが今から3年前のことだった。

さっそくドライブにGO!

立派なゲートには「ETCレーン(日本と同じ名前!)」が設けられているが、そんなものを搭載していない我がトヨタは現金払いゲートへ・・・

といっても入口で通行券を受け取り、出口で払うパターン。

「老」は中国語でラオと読む。

乗用車の制限速度120キロという大盤振る舞いな道路だが、ラオスのドライバーを一切信用していないわたしは100キロで巡行。

進むにつれて出現する警告が実になんとも味わい深い。

「飲酒運転禁止」

街中でも信じられないスピードの飲酒運転が横行する国。高速道路だったら150キロとか200キロとか平気で出しそうだもんね。

そのほか疲労運転の禁止といった教育的指導が行われるなか、グググイッと目を引いたのがこれ。

モノを投げるな。街中でやっていることを高速道路でやればどういう結果が待っているか、この国のドライバーには教えなければならないことがたくさんあるのだろう。

でもなあ、この道路をつくった側にも言いたいことがあるぞ。たとえばこのトンネル、照明ゼロの真っ暗闇だった。

言われなくてもヘッドライトはつけるけどさ、天井の照明なしでは路面状況がまるで見えないのだよ。穴ぼこや落下物に気づくのは回避不能な距離に近づいてから。そこで急ブレーキや急ハンドルを切ったらどういうことになるか、道路建設者や警察が理解してなくてどーすんのって話。20人ぐらい死んだところでどうすべって話になるのか。

111kmの終点に近づいたとき、実に豪快な景色に遭遇。道路をはさむ二つの斜面は、真っ直ぐに切り取られたような人工的なたたずまいで、木が一本も生えていない。

おそらくこの道路を通すため、山ひとつを吹っ飛ばしたのだろう。なぜトンネルではなかったのか。そこは想像の外であるが、何ごとにも荒っぽさが目立つ某国の関与がこうした景色を生み出したのではと、意地悪なわたしは勘ぐってしまう。

ついでに勘ぐっておくと、この道路の交通量の少なさには驚かされた。111kmの走行中、わたしが追い抜いたクルマは15台ほど。わたしを追い抜いていったのは2台しかいなかった。建設費の償還に充てる通行料収入などとてもじゃないが・・・と心配になる。

思うに、ラオスはまだ高速道路を必要としていなかったのではないだろうか。日本で最初の高速道路(名神高速の全線)が開通したのは1965年。日本経済はすでに急速な成長中、物流量はぱんぱんに膨らみ、「一日も早く高速道路を!」の声が列島に満ち満ちているなかでのハイウエイ誕生だった。

しかるにラオスがどうかといえば、長引く経済低迷から抜け出す道筋が見えず、高速道路がなくちゃ回って行かない!なんていう状態にないことは誰が見ても確かだろう。もちろんインフラ整備するから経済成長というのは一面の真実だが、ラオスのケースでは中国の野望に引きずられて巨大投資を急ぎ過ぎたという印象を拭い去ることができない。今後の状況の好転を祈るばかりだ。

ビエンチャンから111kmを走り、終点着。ここへ来てバラすんだけど、わたしたちが見たかぎり「ETCレーン」の利用車は一台もなく、というかETCのゲートはひとつも開いておらず、まだシステムとして稼働していないんじゃと思った。このさき交通量が増えてくればなあ・・・という感じ。

さて、この写真を見て「山、すげえ」と思った方は、方向性としてわたしと同じ楽しみを感じることになるかもしれない。登山じゃないけどね、山の魅力にひたる短い休暇については次回。

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