Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

ホアヒン海岸で蜘蛛の糸

ホアヒンの海岸は遠浅で、水が温かい。

わたしは海系人間じゃないのでガシガシ泳ぐことはしないが、ぬるい水にまったりと身を浸すだけで、心身のいろんなこわばりが少しずつ溶け出してくるような。

ふと足もとに目を落とすと、小さな生き物がたくさん。よく動く貝殻やなあとぼんやり思っていたら、「うわ~ヤドカリだらけ!」と妻。

波打ち際にいるのは1センチそこそこの小さな子たちで、このうち何割が生き残るのかわからないが、少し深いところへ行くと4~5センチのヤドカリが見られる。

思いがけず生き物観察を楽しんでいたら、潮だまりに取り残された一匹の魚を見つけたんだが・・・

釣り糸につかまっていた。助けたいのはやまやまだが、背びれに鋭いトゲがあり、素手でうっかり触るわけにもいかない。それでもサッと掬い上げて口の中を見てみたら、釣り針が見当たらない。しっかり飲み込んでいる。せめて糸を切断してやろうと貝殻でこすったり歯で噛んでみたりしたものの、それくらいで切れるほど釣り糸はヤワじゃない。

ナイフかハサミを借りてこようと、妻がホテルに向かって駆けだし、しばらくして兄ちゃんを連れてもどってきた。

事情をよく承知してくれたのか、手袋とハサミに加え、とげぬきのような道具を携えている。じたばたする魚の口に、慎重にとげぬきを差し込む。

喉の奥をのぞきこんでいた兄ちゃんが、首を横に振った。針が深すぎて、強引に抜こうとすれば深い傷を負わせてしまうだろうと。残念だが糸を切っただけでリリース。魚は針が刺さっていても元気に生き延びることが多い。がんばれ!と見送るつもりだったが、この恩知らずのトトは放した瞬間どこかへ消えてしまった。カンダタを救う蜘蛛がいたように、罪業おびただしいわたしをいつかあの魚が救ってくれることに期待。

目を上げると日は傾き、空がロマンチックな色に染まり始めていた。

リゾート客をのせてパカパカ歩く馬たちも、この浜に暮らす動物のひとつ。馬を応援するためにお金を使うことは厭わないが、今回はやめておいた。今日は魚を助ける日。一日一善ごはんは三膳。

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