Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

聖夜ひかえて、あたたかな思い出(アーヘンのクリスマスマーケット)

ケルンから始まったドイツのクリスマーケット・ツアー(笑)

その後デュッセルドルフを経てベルギー国境に接するアーヘンに転進した。

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8月に訪ねて個性的な大聖堂を堪能したこの街では、幸いなことにクリスマスマーケットが全滅しておらず、大聖堂のお膝元でにぎにぎしく開催されていた。

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ドイツでは木製品を売る屋台が多い感じがするのはなぜだろう。巨大な森林地帯(シュヴァルツヴァルト)を背景に林業・木工業が盛んだったからか。

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こういうのにハマって集めだすと、鍋釜のたぐいも一から見直ししたくなり、そういう欲は財政の敵でありますな。

それにしてもみんな幸せそう。

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温かい気持ちになりながら、からだを温める食い物をさがす。

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よく見かけるのがマッシュルームを煮たやつで、いろんな味付けがあるようだが、わたしたちが試したのはどれも美味かった。

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この晩いちばん心に残った出来事は、食べ物の屋台が建ち並ぶこのあたりで起きた。

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白身魚フライ店の2軒となりのカウンターに、汚れて穴の開いたシャツ一枚の男がやってきた。青白い顔と、痩せたからだ。食い物にあぶれたホームレスの境涯にあることは間違いなかった。

男が店のお姉さんに話しかける。ドイツ語はわからないが、食べ物を恵んでもらえないかと頼んでいることは明白だった。

忙しく立ち働いていたお姉さんが手を止めて男に向き合ったが、男の力ない声が周囲の騒音にかき消されがちだったのだろう、「えっ?」と聞きなおす。そのしぐさがちょっとキツめだったのを見て、胸が痛んだ。

あんたに渡す食べ物はない。客の邪魔になるからそこどいて!

そんな展開になったらどうしよう。わたしたちが買って男に差し出すってのはあり?そういうのはこういう場所では皆にとって気まずいことなのか・・・

と考え始めた直後、お姉さんはこっくりとうなずき、手元にあったポテトフライのようなものを「舟」にのせ、笑顔で男に渡した。

照れたような悲しいような顔でダンケシェンと言いながら男は屋台と屋台のあいだの暗闇に消えていった。

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出来事はたったこれだけ。どこの街にもあるありふれた風景だったはずだが、なんというかパズルがぴたりとはまるのを見たような気持ちよさがあった。

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ここに出店している業者さんたちも辛い思いをしているはず。コロナのせいで去年は大半のクリスマスマーケットが中止になり、今年も完全復調とはいかないなか、なんとか利益を出そうと必死のはず。

キリスト教世界の包容力をあちこちで見てきたわたしも、この未曾有の苦境にあってひとびとの行動はどうなのかと思うところもあり、だからさっき少しドキドキしたんだが、クリスマスに慈悲心をケチるなんてありえないってことか。

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左)アーヘン 右)ケルン

ケルンで始まったクリスマス・マグ蒐集は、次のデュッセルドルフではいいものに出会わず、アーヘンで少し進んだ。すりガラスのやつは存在感があってなかなかよろしい。

アーヘンではホットワインのはしご酒をぶちかまし、丸っこいマグを妻が気に入った。

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これには珍しく「2021年」という文字が入っている。今年は絶対実現させるという強い意志で発注したものにちがない。

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優しげな曲線をもつこのマグを手にとると、アーヘンでのあたたかな記憶がよみがえってきて悪い気がしないのである。

新年にみなさまのご無事を願いつつ。

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