洗車機から白い泡が降り注ぎ、それが流されたと思ったら今度は紫色の泡が降ってきた。おそらくこれはワックスだろう。長ければこれから半年のあいだ日晒しにされる車体を少しでも守ってくれればいいのだが。
引越し先に持って行くクルマをどうするのか、現地でも売られている車種に買い替えていく案も検討したが、結局うちのやつ(RAV4)を持って行くことにした。修理部品の調達はまあなんとかなるやろ・・・な腹のくくりで。
このクルマをベルギーからアメリカへ送るときはガソリンをタンクの1/4にしろといわれたのが、今回は1/8でないと船に載せねえと厳しくいわれ、かといって空っぽに近ければ文句を言われるだろうし、ぴったり合わせるのに苦労した。
ドライブレコーダーなどすべての後付け装備を外して車内を空っぽにし、ナンバープレートも外してトラックに載せる。そこはちょうど我が家(中央付近の角部屋)を見上げる位置で、クルマとの卒業2ショットが撮れてしまったとか言われてもリアクションのしようがないよね(笑)
このアパートはエレベーターが毎週のように止まる、ダストシュートもよく詰まる、廊下のカーペットを最後に洗ったのは50年前かってほど薄汚い、地下駐車場のセキュリティが甘いせいでドロボーに入られやすいといった問題満載で、比較的家賃が安く間取りがとても気に入ったのでなければ近寄っちゃいけない物件だった。
そんななか、サービス品質の点で異彩を放ったのが、フロントの兄さんだった。言葉つきからしてアフリカからの移民一世と思われる彼Jさんは、毎日24時間勤務かと思うほどいつもフロントにいて、住民のめんどうを見てくれた。何か頼んでもその場しのぎの対応しかしてくれない人の多いアメリカで、Jさんの仕事ぶりは出色。誠意とスピード感をもって対応してくれるだけでなく、住民の顔を見ただけで部屋番号が出てくるとか、重い荷物を持ち帰るひとを手伝ってくれるとか、彼は頼まれたことだけをこなすのではなく、自分の意志と想像力でどんどん働くひとだった。
そんなJさんにわたしたちもずいぶんお世話になり、最後は引越し荷物の送り出しの日、エレベーターの使用時間が読めずに困り切っていたわたしたちを優しくサポートしてくれた。思ったよりスムーズに作業が進み、Jさんが余分に確保しておいてくれたエレベーターが不要になったことを伝えに行ったら、「おおっ、それはよかったですね。ほんとによかった!」と自分のことのように喜んでくれて、疲れ果てていた拙者おもわずホロリと来そうになったよ。
そういうふうに有能かつ人間味あふれるJさんは、掃きだめの鶴といったらなんか失礼な感じかもしれないので、地上の星と評しておこう(風のなかのすーばるー)。とにかくわたしと妻はJさんとの別れが心残りだった。彼はほかのどんな職業についても人並み以上の実績を残すだろうから、24時間?勤務で体を壊したりすることなく、元気で活躍していてほしい。
ちゃんとしたひとってのは少数だけどあちこちにいるもんですね。
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