Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

気温34℃、ブリュッセルで清掃業者になった話

転勤者用住宅からの退去はけっこうモノモノしい作業になった。

引越し準備のさなか、総務のスタッフや請負業者など総勢8人ほどがドヤドヤと乗り込んできて、水回り・家電・米政府が取り付けた警報装置などの動作、それに部屋と家具のダメージをチェックをしていった。

ダッカではこんな大袈裟なことはなかったと思うが、ヨーロッパの任地はいろいろうるさいのか。それはともかく部屋チェック要員の仕事はかなり細かく、窓の桟のちょっとしたホコリを指でなぞっては写真に撮るなど、警察の鑑識みたい。

実はブリュッセルの場合、転勤者用住宅を退去の際は新品同様の美しさにしていくことが居住者の義務なんだそうで、その具体的な項目が一覧表になっていた。代表的なところでは、

・すべての床の汚れを落とす

・すべての窓ガラスの裏表を拭く

・台所浴室の水垢(硬水のためかなりきつい)落とし

・換気扇の油汚れ落とし

こういったことがちゃんとできてないと業者を入れてクリーニングすることになり、その費用はこっちに請求してくるという。まじかよ。

そんなふうに脅されなくとも、わたしたちは昔から退去のたび立つ鳥跡を濁さずのセイシンで丁寧に掃除してきたが、築百年・改築後数十年の住宅を新品同様になんていわれても限度がある。

いいですよ、窓拭きしますよ。でもこんな高い窓のどこまで手が届くのやら、モップを買ってきてがんばってもいいけど、地上3階、転落したら誰が責任とってくれるの?

などとぶーたれながら頑張りましたとも。

アメリカ人の大好きなダブルシンクも、本気で磨くとなれば苦労のタネでしかない。

こんなとき日本製の掃除道具が大活躍!

普段からなるべくきれいにしていたせいもあるが、ぴっかぴかにしてやったぜっ!

排水栓も引っ張り出してゴシゴシ、これもう清掃業者の領域じゃね?

1年前に入居したとき、この排水栓が真っ黒どろどろだったのを自分でそぎ落としたことを思い出す。

台所ではシンクとコンロまわりを徹底的にやっつけた。換気扇なんてさ、うちが入居したときスイッチまわりが油でべとべとだったのをすべっすべにしてから使ってきたんだぜキッチンマジックリンありがとう。

当初は想像もしていなかったディープクリーニングに時間と体力を奪われ、とくに最終2日間は最高気温31℃34℃という猛暑(エアコンなし)のなかでの作業となり本当にしんどかった。まだ治りきっていない肘が悲鳴を上げていた。

クルマの引越しには「微妙な重労働」が必要だった。ガソリンをタンクの1/4以下にしておかないと船に積んでくれないといい、それは可燃物をなるべく少なくする安全対策だろう。

わが家のトヨタくんはいい感じの残量になってきており、あとは旅立ちの前日に思い出の食事や買い物であちこちを回ればちょうど1/4になるという目算が立っていたが、悪魔の妨害工作によって丸一日ぶんの余裕が消滅してドライブはキャンセル、ガソリンが減らないまま最終日が暮れていった。

仕方がないので夜ふけの街にトヨタを引っ張り出し、無闇に走り回る。家の片づけが妻のワンオペになるぶん作業が遅れるが、クルマを船に積んでくれなきゃ話にならないのでがんばる。

ブリュッセルのドライバーは荒っぽくて、信号のない交差点では狭い方の道からノーブレーキで飛び出してくることが多く(相手がビビッて減速してくれたらラッキー!な運転)、けっこう神経をつかううえ、目的地のないドライブってのは疲れるもんだね。

出発して1時間、生まれて初めてハンドルを握るのが嫌になり、注意力の低下を自覚し始めたころ、メーターの針がわずかに1/4を下回った。

ばんざい!

自宅に取って返し、シャカリキになって片付け作業を終わらせて空港に向かったのが出発日の午前1時半というのは前回書いたとおり。

間に合ってよかった。そして何より、土壇場にきて交通事故を起こさなくてよかった。あんときの俺、寝不足疲労脱水でふらふらだったもん。

そんなわけで、飛行機に3人でおさまったときのあの安堵感といったら45年前ハーバードに合格したときの喜びにまさったぜ。ってだれか妙なこと言ってる。

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