今回買ったトヨタ RAV4 は、アメリカで製造され、ドイツに輸入されたもの。
この車体はアメリカの法規に合わせた仕様(ヘッドライトの明るさとかそういうの)でつくられていることから、アメリカへ持ち帰るときに話がカンタンというメリットがある。
なんでそんな車体がベルギーで手に入るのか。
ヨーロッパにはあちこちに米軍基地が置かれ、そこに勤務する何千人という軍人・家族の自家用車をアメリカから持ってくるサービスを行う会社が存在し、軍人以外の公務員もこれを利用することができるから。
今回はその輸入手続きにミスがあったせいでわたしたちはエライ目にあっているのだが、悲しい話から始めるのがいやなので、とりあえず新たな愛車を褒めることからスタート。
RAV4 は世界中で人気のようで、とくに北米ではバカ売れしており、2020年のトヨタの新車販売ではぶっちぎりの1位(43万台)。同時に4年連続で北米のベストセラーSUVの座を維持している。
これだけ人気の理由はなんだろう。マニアックな話はさておき、乗り心地がかなりいいと思った。
1.車体がぐにゃぐにゃせず(クルマは地面からの突き上げなどのショックでけっこうぐにゃついており、操縦安定性と乗り心地が損なわれている ←マニアックやな)スムーズな乗り味。
2.エンジンとタイヤからくるノイズがうまく抑えられていて静か。
このふたつの美点は、トヨタの高級ブランド「レクサス」に迫るものがあるのではないか。
静けさについていえば、アメリカ仕様は日本向けより大きなエンジン(2500cc)を積み、パワーに余裕があることから、高速走行でもエンジン回転を低めに保つことができ(125km/h 走行時 2000回転)、車内の静けさは新幹線のそれに似ている。これなら長旅でも疲れにくいだろう。
そういう評判は以前から耳に入っており、9月に2週間のヨーロッパ周遊を計画していたわたしたちは、RAV4 での旅を楽しみにしていた。
ちなみに第一希望だったボルボをあきらめた理由は、納期が遅くて今回の旅行に間に合わないことで、そのため決断した RAV4 買いだったわけだが、いざ納車の段になってとんでもない事実が発覚。
ドイツの通関業者のミスにより、RAV4 に与えられる仮ナンバーが私たちの旅行のど真ん中で失効することが判明したのだ。
仮ナンバーが切れたら運転できないから、途中で帰宅するほかない(正式ナンバーが手に入るのは10月)。
わたしたちは2週間の旅だからこそ遠方まで足を伸ばせると喜び、あれこれ計画を立てていたのに、バケツいっぱいの氷水を頭からかぶった気分。
言葉をひねり出すとすれば クソ通関業者のヤローぶっ殺してやりてえ って感じ。
この件、輸入業者には口を酸っぱくして説明してきた。仮ナンバー手続きをミスると休暇が台無しになるからカンペキにね?!と再三再四お願いしたにもかかわらず、ポンコツヨーロッパ人がまたやってくれた。
いったいどーすりゃいいんだ。
とても印象的だったのは、輸入業者の兄ちゃん(アメリカ人)の腰の引けっぷり。
ナンバーの有効期限を延長する手段はないかと尋ねるわたしたちに、余計な仕事を全力で避けたいのか、
「あー、ナンバー切れててもだいじょぶっすよー」から始まり、
「こっちのケーサツはそこまでナンバー見てないし」とか
「うちのクルマにも同じく切れてるのありますからー」とか
ありとあらゆる楽観論を述べたて、動こうとはしてくれない。
期限切れナンバー車の運転はヤヴァイ(法律違反+事故のとき保険がきかないなど)という感覚は社会人なら誰でも共有していると思っていたのだが、クルマ業界でメシを食っている人間の無責任ぶりに驚かされた。
妻が怒りの鉄拳を発動。
あんなこと言いたくはなかったんだけど... と後でこぼしていたが、彼女は政府の法執行官としての職務感覚からしても期限切れナンバーがどれほどまずいことかをキッチリ説明し(←高校の授業かよ)、兄ちゃんに善処を求めた。
そしたら「ミスをした通関業者から事情説明のレターを出してもらうので、それを警察に見せれば問題ない」と言いだした。
「うちらがヘマしなかったら9月いっぱい有効なナンバーなんですぅ」と説明すれば見逃してくれるはずだというのだ。
いやいやいやそーはいかないよ、警察が知りたいのはナンバー切れの理由じゃなく、ナンバーが有効かどうかだけなんだから、そんなレターは無意味。
唯一有効なのは、ナンバーを発行するドイツ政府機関が「このナンバーは9月いっぱい有効」と証明するレターくらいだろう。
そういうのを取ってきてくれないとウチの休暇がぶっ壊されになっちゃう件、理解してもらえたかしら?
このメッセージを失礼にならない範囲の柔らかさで兄ちゃんに伝えたが、やつは最後まで業者のレターがあればぁとか言ってたなあ。
彼が仮ナンバーを発行するドイツ政府機関(税関)に粘り強く交渉し、レターをもらったり新規ナンバーを獲得する大逆転劇を演じる可能性はどれほどだろう。
ブリュッセルにもどり、このあたりの事情にくわしいひとに妻が尋ねてみたところ、期限切れナンバー車はぜったい運転するなとの反応だった。
ドイツでは税金のがれのため正式なナンバー登録をせず、切れた仮ナンバー車を運転するドライバーが増えており、警察が摘発に力を入れているという。
停車させられたその場で車両がボッシュートになることもあるとか。
くわばらくわばら(←ほぼ死語)
デビューと同時に深い落とし穴にはまった RAV4 さん。
これからどうなるのでしょう。
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