クルマを受け取るためにやってきたブレマーハーフェンは19世紀に港が開かれて以来、ドイツの貿易の中枢をにない、とくに輸入される自動車の大半(二百数十万台)がここで荷揚げされる。アメリカから来たうちのクルマは、この広大なヤードのどこかでひと月のあいだ眠っていたことになる。
ブレマーハーフェンで泊まったホテル(Nordsee Hotel=北海ホテル)はビジネス客相手の手ごろな宿で、清潔であってほしいと思う以外になにかを期待していたわけではなかったが、部屋へ入るなり少し心が温まった。
部屋の隅っこに、わんこ用の食器とドッグフードが置いてあったのだ。
もちろんイヌ連れであることは知らせてあったが、こういう細かいサービスは期待していなかった。これまでアメリカとヨーロッパでペニーと泊まったホテルではこういうことが起きなかったので。
今回のサービスは、親切というよりはワンコ料金8ユーロを払う見返りととらえるのがリアルな解釈ではあるが、悪い気はしなかった。
ドッグフードの成分が不明だったので、ペニーに与えたのは持参のやつだったけど。
クルマを受け取ってまっすぐ帰宅するよりは、どこかで一泊という話になり、とりあえずベルギー方向に走りながら妻がヤマ勘でホテルを選んだ。
ハーゲンという村、広大な耕作地のどまんなかにある Landhotel Buller ランドホテル・ブラーという宿。
ぽつんと一軒家なので、おそらくどの部屋からもこのような見晴らしを楽しめると思う。
ここのわんこ料金は12ユーロ。ドッグフードが待っていなかった代わり、夕食のときにうれしいサプライズがあった。
1階レストランの予約電話を入れたら、「わんちゃんお連れになってくださいね」と言われたので素直にそうしてみたところ・・・
こんな具合になった。
最初は足元に座らせていたのを、ペニーが落ち着かないのでエイヤっと上げてみた。誰かに文句を言われるでもなく、みんながニコニコと微笑みながら通り過ぎていく。
向こうのほうから何匹かのわんこの声が聞こえてきて、たまに吠え合いになってうるさいこともあったが、なんというか皆さんイヌとの時間をゆったりと共有している様子。
ドイツがどれほどペットフレンドリーな国なのかまったく知識がないが、少なくとも田舎のこうした宿の雰囲気はワンコ連れには心強いかぎり。
あ、民宿みたいに庶民的な宿なのかといえばそういうわけでもなく、地元の有力者・富裕層とおぼしき紳士淑女方がシャキッとした服装でパーティールームに集まり、どでかいテーブルを囲んで少なくとも4時間かけてゆっくり食事しておられた。
郊外で贅沢な時間をすごす別荘的な存在なのだろう。
この立地条件、イヌにとっては天国そのもので、ペニーは豊かな緑のなかを泳ぐように駆け回っていた。
面白かったのは、たまに出現する耕起された畑にやたらとコーフンして駆け込んでいくこと。
ミニチュアピンシャーは畑を荒らす小動物を狩るためつくられたブリードといわれている。ペニーが土中に熱心に鼻を突っ込んだり、勢いよく掘り返したりする様子を見るにつけ、なるほどと思うのである。
そんなこんなでドイツの旅、わんこに優しいホテル2連発。
こんどはどっち行くべかなあ。
ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。