いま人類が最も読むべき本のひとつはこれだと思う。
著者はわたしの尊敬するジャーナリストで、朝日新聞に記者として勤めたあと、メディアの果たすべき役割について研究する機関で働いておられる。
ちなみに朝日新聞ってえと「アタマのおかしいサヨク?」と思う方もおられるだろうし、わたしも全面的にそれを否定するものではないが、朝日にも本当に優れた記者はたくさんいて、そのうちでも山脇岳志氏はまともすぎるほどまともなバランス感覚をもつ優れたジャーナリストだった。
この著作には「ニュース、SNSの投稿、動画からAIまで。情報にあふれた現代で、デマに流されず信頼できるものを選びとり、自分の世界を広げるためにはどうしたらいい? よく考え、ちゃんと対話するための道具として情報を使いこなす、あたらしいメディアリテラシーの教科書」という紹介文がついている。
いまや人類は、ニセ情報の時代に突入している。巨大メディア企業メタは、嘘つきトランプにおもねってのことか、投稿内容のファクトチェックを廃止すると表明し、嘘をばらまく意思を固めたもよう。もはやフェイスブックあらためフェイクニュースに名称変更してはいかが?
X(あー気持ちわりい、旧ツイッター)の持ち主イーロン・マスクは、みずからがドイツ極右礼賛の投稿をするなど、好き放題をやり始めている。
世界の市民は皆が賢いわけではなく、こういう連中の策略に易々とだまされて価値判断を誤るひとが幾何級数的に増えていく恐れがある。こうした「下からの動揺」は、政府や軍隊が暴れるのと比べ、はるかに危険な結果につながりやすい。人類はそれを何度も経験してきたが、今回はインターネットの広範性・同時性を背景に、史上もっとも激しい動揺が引き起こされる可能性がある。
とかいっちゃって、この「SNS時代のメディアリテラシー ウソとホントは見分けられる?」みたいな本を読む気になるひとは、そもそもトランプやマスクのようなポピュリストには騙されにくい知性の土台があるひとたちで、そうでないひとたちに何を知らせるのかが人類最大の課題になってきている。
とりあえず言えることは、この本で語られている知恵を学校教育のなかにしっかり取り込み、賢い市民を育てることではないだろうか。まだ間に合うと思う。
こちらは目を皿のようにしてメディアと向き合うペニーさん・・・
ではなくて、頭をマッサージされながらテレビを観るペニー姫。
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