Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

パリのタクシーにびっくり

昨春パリを訪ねたとき、タクシー車両の大半は日本車だった。それから1年が経ち、EV旋風が吹き荒れるヨーロッパ(2035年までにエンジン車の新車販売が禁止される)のこと、さすがに様子が変わっているだろうと思っていた。日本メーカーはEV開発で後れをとっている、世界のトレンドに乗り遅れていると盛んに指摘されており、すでにその影響がパリの路上にも表れているんじゃないかと思ったら・・・

今もパリのタクシーは日本車だらけだった。圧倒的に多いトヨタを筆頭に、各社の車両がばんばん走っている。わたした見た限りすべてハイブリッド車。おそらくパリのタクシーはすでにエンジン車が禁止されているからだろう。かといってEVタクシーが普及しているのかといえば、そういう気配をまったく感じないのは、信頼に足るEVがまだ存在しないからだろう。

フランスでは国策としてEVの普及に力を入れており、自家用車としては売り上げが右肩上がりらしいが、タクシーはどうなのか。自家用車とは比べものにならない長距離を走るタクシー車両は、壊れにくさ=維持費の安さが業績を大きく左右するから、日本車が今でも最適解なのだろう。信頼性は、日本車が何十年かけて築き上げてきた財産であり、そのことはパリのタクシー車両の活躍をとおして一般のフランス人にも少しは届いているのではないか。

たしかにいま日本メーカーは、EVトレンドに乗り遅れているようにも見え、行く先が心配なところはあるが、EVであれ何であれ、ユーザーがクルマに信頼性を求める気持ちは今後も変わらないだろう。だとすれば、今ちょっと出遅れたからといって消費者が日本メーカーを捨ててしまうわけではなく、むしろ「お前さんたちが作ってくれるのを待ってたよ」と喜んで迎えてくれる・・・なんてこともあるのかもしれない。

それがヨーロッパが夢中になっているEVなのか、日本メーカーが粘り強く開発を続けるEV以外の技術なのか、まだまだいろんな可能性があるだろう。パリでいちばん驚かされたのはトヨタの燃料電池自動車 MIRAI のタクシー。水しか廃棄物を出さないクリーンエネルギー車だ。

MIRAI は、ずいぶん安くなった現在でも700~800万円する高級車。こんなクルマがなぜタクシーに?と思ってググったら、面白い情報が出てきた。トヨタが出資するフランスのベンチャー企業が、2024年までに1万台の MIRAI をパリに走らせる事業を展開しているらしい。いうまでもなく燃料電池車はEV以外の技術のひとつであり、パリのタクシーという目立つステージに MIRAI を押し出すトヨタの戦略が実を結ぶよう祈るばかりだ。

ご存じかと思うが、日本の労働人口の8%が自動車関連産業でメシを食っている以上、我が国の当面の浮沈は自動車メーカーの生き残りにかかっているのでありまするよ。

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