Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

ドロボー列車

ブリュッセルで究極の野暮用を済ませたあと、妻は去年わたしたちの涙腺を崩壊させた天使さんに会って、結婚祝いを手渡した。先日わたしが日本から運んできた富士山グラスのペア。彼女の新婚生活にちょっとした彩りを添えてくれればいいな。

これでブリュッセルでの目標はすべて達成され、アムステルダムに向かったわけだが、上記の用件が済むまでは列車の予約ができず、高速列車はすでに売り切れになっていたことから、わたしたちは各駅停車の旅を敢行することとなった。

アムスまで2時間半。停車するたび人が入れ替わるのを見るのは面白いものだが、今回はちとくたびれてしまった。泥棒が多いからだ。それはヨーロッパでは常識といっていいが、今回車掌さんが「ドロボーに気をつけて」と口を酸っぱくしているのを見るにつけ、状況はかなり悪化しているように思われた。
席とは離れたところに置いたスーツケースが気になる。重いから大丈夫だろうとか、ワイヤーロックかけといたから安全とかいうのは甘いと思う。停車するたび荷物に目を走らせ、眠る暇なんて全然なかった。

とはいえ、ドロボーはほんとにうろうろしているんだろうか。妻は、ひとりの中年男性が網棚や座席からはみ出した荷物に鋭く視線を這わせる態(てい)でゆっくり歩いて行くのを見送りながら、「あのひと絶対にそれだと思う」と眉をひそめていた。

終点アムステルダムまで乗ってわかったのだが、この各駅停車には検札がまわって来なかった。車掌の目がないことを幸いに、泥棒は切符すら持たないで乗車し、成果のあるなしにかかわらず2~3駅で降りて行くんじゃないか。なんか防止策を考えてよといいたいところだが、ドロボーが多すぎて手がつかないってのが実態かもねえ。

ちなみに挙動不審で妻の目を引いた男は、タイプでいえば被差別民族ロマふうに見えたという。もしもそうだとすれば、差別と貧困と犯罪の悪循環の一端をまたしても見てしまったのかもしれない。ユダヤ人は600万人の虐殺と引き替えにようやくあからさまな差別から逃れることができたわけだが、同じころ同じような目にあっていたロマのひとびとの扱いは今もさほど変わっておらず、ヨーロッパ千年来のダークサイドといっていいだろう。

ペニーさんは、よく食べよく出しよく眠りの健全な毎日を送っているもよう。

いくらシッターさんちの居心地がよくても、おれらのこと忘れやがったらとんでもねえぞオイッ。

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