Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

ジゴクでホトケ

悪夢のようだった引越し準備。ただブリュッセルから出ていくというだけのことにどうしてこれほど苦労させられるのか。この世は悪魔バッカリヤナイカーと繰り返し思った。

最終日、ほぼ唯一の食事

だがそれは正しくなかった。最終日、わが家に現れたのは天使だった。そのひとNさんは、わたしたちの「引越し後見役」を買って出てくれた。後見役は、引越し以前に任地を離れるひとの代理で荷出し作業に立ち会ったり、離任後に届いた請求書の支払い代行といった後始末をするもので、誰かが転勤するたびボランティアで助け合う仕組み(日本の感覚だとそういうことは総務が面倒を見てくれそうなものだが、その点アメリカの役所は素っ気ないのだろうか)

なお、職場ぜんたいにボランティア募集の声掛けをするのは総務の役目で、悪魔のマブダチである総務担当者は嫌々そうしたのにちがいない。それが証拠にこやつは応募してきたNさんに「本当にこの役目を受ける気?あなたが思ってるよりずっとずーっと大変なのよ、たぶん後悔するわよ」としつこく翻意をせまったという。おそらくわたしの妻が「とんでもなく面倒くさいやつ」だからというニュアンスを濃厚に漂わせながらの説得だったろう。

それでも何故かNさんは意志を曲げることなく後見役を引き受け、週末の時間を割いてわが家に引越しの下見に来てくれた。

Nさんは部屋に入ってくるなりこう言った。

「今回は本当にたいへんでしたね。わたし、おふたりのご苦労を耳にして、少しでもお役に立ちたいと思ってきたんです・・・」

Nさんがどんな情報を耳にしたのかはわからない。わたしたちの脱出作戦の詳細はプライバシーにかかわるもので、本省のごく少人数のほかは誰にも知らされておらず(悪魔といえども調べはつかなかったはず)、わたしたちの転勤理由についてNさんはご存じないはず。ただ、職場の一部では悪魔の非道ぶりが少しずつ知られるようになっており、妻の急な転出をそれと関連付けて考えていた可能性はある。

Nさんは、わが家を去るまでのあいだに3回、深い同情といたわりを示し、自分で役にたつことならなんでもするからと言ってくれた。このひとは天使か。本気でそう思った。涙がこぼれた。

去り際、Nさんの提案で記念撮影

日本語に翻訳すると「地獄で仏」「掃きだめに鶴」なこの体験、ブリュッセル最終日のしんどい作業をやりきる原動力はこれだったかもしれない。

作業洩れがないか見回るペニーさん

引越し荷物はジャンル別に整理して、混乱なく梱包できるようにはからったつもり。あとは天に祈るのみってことで。

運び出しの日、丸1日休暇をとって立ち会ってくれるNさんは、箱に入れられるものすべての写真を撮ろうかと親切にも提案してくれたが、家じゅう同時多発で行われる梱包作業を追い切れるものではない。ただ親切なNさんが現場にいてくれるだけで有難いのである。

もう退出したからバラせるけど、住んでいたのはこの建物。

道路に面した3階がわが家でした。南向きに並ぶ部屋は明るく風通しよく、こんな気持ちのいい家に住めるだけでも幸せだった。

労働者タウンとあって騒音とゴミの多さには閉口したけどね。

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