Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

ひとの情けに触れて半泣きに

次の住居が激セマになることがわかっているので、必死になってモノを減らしている。

引越しは常に断捨離のチャンスであり、ここまでいろんなものを手放しながら歩いてきたが、今回は更に一歩踏み込んで断行(政治家かよ)。

洋服やブランケットをリサイクル団体の回収ボックスに入れたあと、その他もろもろをクルマに満載して資源リサイクルセンターに向かった。

だだっ広い敷地にコンテナや小屋が並んでいて、「家電」や「金属」など目的の場所を見つけて投入するのだが、実際はそう簡単じゃない。たとえば金属部品つきのプラスチック製品はどうすりゃ委員会(90年代風?)。
迷って立ち尽くすわたしたちをセンターのスタッフが助けてくれた。屈強な兄ちゃんたちが歩き回り、投入するコンテナを教えてくれたり、「よこしな!」とわたしたちの手から奪い取って捨てにいってくれたりする。

黄色いズボンのスタッフ

わたしたちを助けてくれた兄ちゃんは、わけても親切テキパキ、骨惜しみしない働きぶりが実にさわやかだった。資源回収センターというこの場所で、頑張ったからといって売り上げが上がるわけでなし、お客に気に入られてチップが入るわけでもなし、ベルギーの基準に照らすならテキパキ働く理由が見つからない。それなのにこの兄ちゃんの爽やかな仕事ぶりというのはいったいどうしたことか。掃きだめに鶴を見るがごとき驚きだった。

だが、「ひとの情けに触れて半泣き」になったのはここではなく、次なる目的地でのことだった。

向かったのは家庭医のところ。以前に妻が悪魔ストレスでボロボロになって受診したとき、君は休まなくてはならないといって「休養2週間」の診断書を出そうとしてくれたが、その時点ではお断わりした。まもなく3週間の休暇に入ろうとしており、さらに休暇明けから1週間は悪魔の不在によりまずまず安全だったから。

だが夢のようだったその期間も終わり、明日から悪魔がもどってくるというタイミングで妻は伝家の宝刀「2週間休養丸」を抜き放つ決心をした。

だけど本当にそんなことやっちゃっていいんだろか・・・

生真面目だから最後まで迷っているのを「手段を選んでいられる時か?」とわたしがけしかけけしかけしたせいか、悪魔のオフィス復帰前日になって妻はR先生に連絡を入れた。

委細を承知しているR先生、すぐにいらっしゃいといってスケジュールをこじ開けてくれ、診察室に入った妻の痩せたからだを目にするなり診断書をサラサラと書き始めた。

2週間といわず、キリのいいところで「今月いっぱい」としておくよ。そしたら安全でしょ?

診察料を払おうと財布を開ける妻をオー、ノンノンノンといって押しとどめ、R先生は無料の診断書を手渡してくれた。最後は抱きかかえるようにして妻の背中に手をまわし、

「決して辞めちゃだめだよ、君はまだ先が長いんだ。潰される前に逃げるんだよ!」

あっ先生、実はもう・・・と言いかけた言葉を飲み込んだのは、ブリュッセル脱出の最終手続きがまだ済んでおらず、本当に安心できる状態ではなかったから。もしかしてまた先生のお世話になるかもしれないから。それだけに我が身のつらさと先生の優しさが身に染みて、妻はクルマで待つわたしのところへ戻ってからも涙が止まらなかった。

予定どおりに事が運んだらR先生には礼状を送っておこう。

脈絡なくペニーの近況。

近ごろわたしがサラダに混入させたがるリンゴのかけらがペニーさんは大好きで・・・

 

 

 

 

「待て」がかかったぶん激烈に

 

 

 

 

ぱくっ。

ブリュッセル発の飛行機、ペニーをキャビンに連れ込める会社は限られており、なんとかうまくいくように祈っている。ひとさまの情けにたよってギリギリ通過とかじゃなく、晴れ晴れと出発したいものだ。

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