独仏の国境線沿いにあるストラスブールは「いわく因縁多すぎ」の街ではあるけど、フランス語が話される路上でプレッツェル(ドイツ発祥の焼き菓子)の屋台が人気を集めているのを見ると心がなごむ。
残念ながらわたしはプレッツェル党ではなく、記念にちょっとだけ賞味させていただいたわけだが。
冬場ということもあってか、昼間のストラスブールでちゃんとしたランチを食べることは難しかった。たいていのカフェやレストランは軽食しか用意していない。
飲み物+タルトフランベのセットを10ユーロちょっとで出す店があったのでお試し。
薄い生地とホワイトソースは食べやすく、妻もぺろりと平らげていた。
街をぶらつくと、いろいろ面白いものと出会う。
すげえチーズ屋!
と思ったらそれだけではなく、手作りの干し肉?も売っている。というか、それだけの店。
肉はちょっと上級編に思えたので、初心者にオススメのチーズはどれかと尋ねたところ、熱心で丁寧な説明あり、薄く切り取ったやつ(20×40センチ)を一枚買ってきた。
塩分抑えめ、まろやかなチーズでありました。
そこからほど近いところ、これまた不思議な店が。
商品はぜーんぶ魚の缶詰。
何百(何千?)種類の缶詰からどう選べばいいのか見当もつかないなか、妻はおもしろいものを買ってきた。
7個入りパックのサバ缶。
すべて味付けが違っており、とりあえず1個食べてみたところ、抑えめの味付けで悪くない。
la belle-iloise(美しきイロワーズ海)というこの会社はフランス西海岸の漁村キブロンが発祥で、その製品が内陸ストラスブールで愛されているということか。
妻はもうひとつ、妙な箱に入った缶詰も買ってきた。
サバ、マグロ、イワシ、サケなど魚種は様々ながら、すべてパテになっている。
これほどの魚パテが一堂に会するのを目撃するだけでも貴重な体験。とりあえず1個開けてみたけど、穏やかな味付けがよろしく(←ドイツの塩分攻撃がトラウマになっとる)、メシも進む酒も進む。
人気店にはひとがたかっているので、それを目印にどんどん試してみるのは楽しいだろう。このショーウィンドウにはかなり引き寄せられた。
カロリーとかを気にして手は出さなかったけどな。
ペニーさん、それは食べ物じゃないよー。
ホテル紹介のなかで少し触れたが、スタッフが熱心に教えてくれた「めちゃおいしいジンジャーブレッド屋さん」には少し並んででも入ってみようと思った。
旧市街の見どころプチ・フランス近くにあるPain d'épices Mireille Oster 。
帰宅してから正座して食べてみた(うそうそ)ところ、上品な味わいがたいへん結構でございました。
好き嫌いはあるだろうが、ストラスブールへ行ったら是非お試しを。
夕飯はアルザス料理にしようという話になり、大聖堂前のツーリストオフィスでお勧めを尋ねたところ、そのときの窓口は不愛想でサービス業が不向きの女性で、窓外を指さしながら「あそことあそこ」とおっしゃるのみだったが、結果的にはそれでよかった。
大聖堂真ん前の レストラン Au Dauphin オードーファンは当たりだったと思う。
夕方は5時半オープンと書いてあるのに、いつまで待っても扉は開かず、電話したら6半からだというテキトーさはヨーロッパだから気にしないとして。
飲み物はアルザス名産のぶどうピノ・グリ種からとれた白ワイン。ピノ・ノワールの変種であることから白ワインとしてはコクがあり、香り豊か。酸味は穏やかで、舌を刺してこない。
それはいいけど甘口もね!と頼んだらなんり貴腐ワインが出てきて(写真左)これはちと甘すぎたかな。おいしかったけど。
料理は「グルメサラダ」みたいなのから始めた。
海の幸山の幸たっぷり、快楽主義的な一皿でした。フォアグラに対しては否定的な意見だが、せっかく出されたものなので一所懸命にいただいた。
メインは肉盛りで、ふたりぶん注文しようとしたらウエイトレスさんから「ノンノン、一皿で十分です、あなたがたであれば」というまっとうなアドバイスあり、お言葉に甘えることに。
腸詰にせよローストにせよ、その柔らかさと味わいの豊かさを堪能。さすがは肉食民族です。
温まった体で歩き出す。
街のあちこちに出ているのは焼き栗屋さん。
たいていはおっさんの店だが、妻は女性がやっている屋台を目ざとく見つけ、「協力するならこっちよ」と言いながら購入。
ちなみに値段はどの屋台も同じ。価格競争で首が締まることのないよう協定ができているのだろう。それを聞いてなんかいろいろ安心。
ペニーさんにもひとかけら差し上げましたとも。
冬のヨーロッパは、寒さのなかで飲むホットワインが楽しい。
大聖堂前の雑貨屋はこのシーズンにはクリスマスショップと化し、ホットワインも始めるらしい。奥のレジで注文するとカップを渡され、出入り口ちかくにあるサーバーから注いでくれる。
あちこちの店で売っていて、味くらべが楽しい。
いろいろ楽しいストラスブール、是非もう一回と思っている。
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