ローテンブルクを発ち、予期せぬ面白さに満ちた野外博物館に寄ってから向かったのは今回の旅で2回目になる古城ホテルだった。
それはブルグ コルムベルク ホテルといい、前回のやつが城の廃墟に寄りそうスタイルだったのと比べ、こちらは中世以来の館がそのままホテルに改装されており、「城に泊まってる」感が強かった(場所はこちら)。
館内を歩くとまず気づくのが、映えスポットの多さ。
こんな感じのスペースとか、渋い階段とか、いろいろある。
妻は仕事のヤヤコシイ電話がかかってきて、このライブラリーを活用させていただいていた。
印象的だったのは眼下の景観。
どの窓からもドイツの大平原の広がりがよく見え、日の出から日没までの変化を楽しむことができる。それにしても家々の赤屋根の美しいことよ。
領主さまはこのようにして村人の暮らしを観察しながら、「今年は炊煙がよく上がっておるの、民の暮らしは安泰のようじゃ」などと言っていたのかもしれない。良いお殿様だったらね。
ともあれ、この景色を見るためだけにでも泊まる価値ありかもしれない。
客室は古城ホテルの風情が感じられるようにうまく作られている。
浴室も立派だったが、冷蔵庫はなかった。湯沸かし器やコーヒーメーカーもなく、そういう設備に慣れた身には不自由な感じ。お茶やビールを飲みたかったらレストランまで下りてこいということか。ドイツには冷蔵庫なしのホテルが多く、ここに限ったことではないが(大都会は別)。
レストランといえば、ここは小さな村のはずれで、周辺にはなんにもないから、食事はホテル内でするのが正解。
ここは「ホテルだからレストランもくっつけておけ」ではなく、料理でひとを呼ぼうという意欲に満ち溢れているようで、じっさい評判もなかなかよろしい。
このビールは、ホテルのオーナーが所有する醸造所でつくられるオリジナル古城ビール。
ここでしか飲めないという希少価値で攻めており、じっさいけっこう美味かったよ。黒めだけどすっきりして、雑味なし。
料理の細かいことは覚えてない(食べてるときもそうだったかな)が、ドイツにありがちな過剰な味付けはなく、素材の味をかみしめることができた。
値段のこともちゃんと覚えてないんだけど、ほかに選択肢ない状態でのレストランがぼったくり価格になりがちなのと比べ、ここはまあ普通だったと思う。
大平原を見下ろす食堂で朝食をとったとき、めんどうをみてくれたのが日本人のスタッフだった。
彼女はドイツ人と結婚してこちらに暮らしており、ブルグ コルムベルク ホテルで働くようになって2年。最初はたくさん来ていた日本人客の足が、すぐにコロナのせいで止まってしまい、たいへん寂しいとおっしゃっていた。
ドイツでの暮らしはどうですか?尋ねたら、いろいろ凹むことが多かったけどだんだん慣れてきたとおっしゃっていた。たとえばドイツ人は「君の欠点は〇〇だね」「その考え方は間違っている」などとズケズケ本音をぶつけてくるので、そういうところが堪えるのかもしれない。
悪意なくそう言ってるだけなので気にしないようにしていると、こっちに住む日本人は口をそろえておっしゃるが、オレだったらどうかなー受け入れられるかなー料簡せまいからなー。
食事が終わったらペニーさんと見回りに出ましょう。
手前にゴルフ場があるほかは、大平原のほとんどすべてが農地。ドイツが堂々たる農業国であることを思い出させてくれる。
まるで絵のような「領地」の中央に建つ絵のようなお城。全体に漂う清潔感をふくめ、なんか日本人に合ってんじゃねえかなーと思ってみたのである。
去り際、城の丘のふもとで飼われている鹿にごあいさつ。
野生だったら喧嘩でどこかが折れていたりする角が、ここではカンペキ。
用地に沿ってリンゴや洋ナシの木が植えられており、ひとびとは落ちた実を拾ってはさかんに鹿に与えていた。
こんなもんたっぷり食ったら肉が美味しくなるんじゃね?と不謹慎コメントを口にしたら妻が言った。
「あ、このホテル、ジビエ料理にも力を入れてるのよ」
つまり・・・ということですね。
それを食するかどうかはあなたの選択として、この古城ホテル、試してみて損はないと思った。
なお、あなたが1泊するたびわたしの口座に2000円が振り込まれます冗談にきまってますやろ😎
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