ローテンブルクや古城ホテルのあるロマンチック街道かいわいを離れて、西へ。
なーんもねえ農道を3時間走ってたどり着いたのがドイツ三大名城にかぞえられるハイデルベルク城。
入場料を払ってじっくり見学するのは次の機会に。というのはハイデルベルクは第二次大戦による破壊を免れたせいでゴシックな街並みやドイツ最古の大学がしっかり残っていて見どころ満載、だが今回はある理由により旅を急いでいた。
ペニーはクルマ移動にはとっくに慣れていて、キャリーケースに入るなりぐーすか気持ちよさそうに寝ては、目的に着くと元気に飛び出してくる。
出会うひとびとを笑顔にさせる技はドイツでも全開。
やっぱええとこやねー、いつか戻ってこようねーと言いながらハイデルベルクを離れ、隣町マンハイムへ移動。
マインハイムは単にホテルの安い部屋が空いていたから寄っただけで、観光目的ではないが、個人的には90年代の初めごろ取材で来た思い出がある。
当時一般的になりつつあったインターネットを「ネオナチが勢力拡大のために利用中」という内容で、最初アウグスブルクの坊主刈りの兄さんが薄暗い部屋でパソコンに向かい、若者を惹きつけるコンテンツを送信する様子を撮影したあと、ネオナチ(ざっくりいうと法律違反)を取り締まる警察の取り組みをマンハイムで取材した。
別の街でネオナチの大集会を取材したあとアウトバーンに乗って空港を目指していたら、パトカーが追っかけてきて停車を命じられ、取材目的を根掘り葉掘り尋ねられたときは、この国でネオナチがまったく洒落になっていないことを実感させられた。
そんなマンハイムで食べたのはレバノン料理。
アラブめしはうめえなあと言いながら楽しんでいたら、どんちゃか鳴り物入りのデモ行進がやってきた。
連邦議会選挙が迫ってきたドイツは全土がざわめいており、このとき出会ったのは Volt Europa という政党のデモ。
Volt は、イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ政権の出現といったポピュリズムの台頭に対抗して2017年に設立され、EUという枠組みを守る「汎ヨーロッパ主義」をかかげている。
リベラル系(若年高学歴層)が主力とあって、ジェンダー平等の訴え(レインボーカラーの旗)もしっかり組み込まれている。
わたしたちの隣のテーブルには男尊女卑の傾向が強いアラブ系の客がいたが、かれらは目と鼻の先を通過していくこのデモをどう見ていただろうか。
翌朝、スーパーで調達した朝食を片付けたあと、西へ向けて出発。
2時間足らずで着いたのはベルンカステルという小さな街。そこには、ゆったり流れる川と、広大なブドウ畑があった。
ワインを買いあさったライン川へ戻ってきたの?
いやそうじゃないんです、これはモーゼル川。
フランス東北部に源を発してドイツに流れこむモーゼル川。
写真の客船はストラスブールから来ているようで、おそらくフランス人客を連れてきたものだろう。
モーゼル川は、この先しばらく行ったところでライン川に合流するのだが、そこまでの流域は存じモーゼルワインの産地として知られている。
そう、わたしたちはRちゃん(Rhein)とMちゃん(Mosel)、ふたりのワインのあいだで身を焦がす浮気者なのであった。
旅の終盤を飾るモーゼルワインの買いあさりってことで、ワイン博物館に付属するショップで物色開始。
なかには1本買うごとに赤十字に1ユーロ寄付されるワインがあり、味はセミドライ。これはよい候補ですね。
地下のワインセラーをうろうろ。いくばくかの料金を払うと試飲できるようで、試飲ちゅう酒量じゃねーだろなオヤジどもがグラス片手に盛り上がる姿もあったが、今回わたしたちはラベルのみで判断。
あ、ドイツは食料品店でなければたいていのショップにわんこ連れで入ることができ、ここでもまったく無問題。
ほんと、わんこに優しい国です。
んで買っちゃいました。
Mちゃん3本。
こんな調子で買い集めてずいぶんな本数になったんだけど、それは帰宅後にまとめてご紹介。
ところでわたしはこの旅の最中に誕生日を迎え、その一日を素敵な街で楽しく過ごすことができた。そのドライブ旅行最後の目的地で目撃した「古すぎる歴史」についてはあらためて。
ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。