王族ワイナリーで白ワイン5本・ロゼ1本という大規模買い付けを行ったあと、隣町リューデスハイム アム・ラインに宿をとった。
目抜き通りと呼べるものが1本だけのこじんまりした街で、むかしの姿がよく保たれている。
多くの都市では、こうした街区が「旧市街」と呼ばれるが、ここは街ぜんたいがこんな感じで新も旧もない。
前回紹介したように、この街はライン川が西進するブドウ栽培適地で、市街地の周囲は畑に埋め尽くされワイナリーもあることから、ワイン関係の店が多い。
Weinkeller(ワインセラー)というこの店は立派な構えをしており、豊富な銘柄を取り揃えていそう・・・
と思って近づいたら、なにやら日本語のサインが。
お気軽に試飲してね!というこの店は、もしかして日本人有力店員さんがいる?それとも経営者が日本人?
あとで通りかかったとき、中から実年世代の日本人男女が出てきて話しておられたところを見れば、日本語の説明を聞きながらゆっくりワイン選びができそう。
以前は日本人客が多かったにちがいなく、現在のご苦労は察してあまりあるところ。コロナが収束したらリューデスハイム アム・ラインの「ワインケラー・プロスト」に足を運んでいただきたく。
などと言いながら別の店へ足を向け、街はずれへと向かうわたしたち。
ぜひとも訪ねてみたいところがあったから。
リューデスハイム・ラインヴェルトというこの店は、ライン産ワインの試飲・販売をしているのだが、その方式がユニーク。
かつてのワイン貯蔵庫を改装した店舗内では、ずらりと並んだボトルを片端からテイスティングすることができる。
カジノのように10ユーロを払うと渡されるコイン10個を機械に投入。ボトルの下のボタンを押すと20mlのワインが出てくる。
欲しいものが決まったら、その場に置いてある現物を取っていく。
ちなみにワインの展示室は5~8畳ほどの広さのものが10室ほどあるのだが、驚いたことにそれぞれの部屋が丸ごとワイン容器だったという。
床から壁・天井までがガラスタイルがびっしりと敷き詰められ、巨大な鍋のようになっていた。
新しい保存技術に取って代わられ、二十数年間放置されるうちにタイルが劣化して貯蔵庫として二度と使えなくなりはしたが、このように再利用されている。
ドイツ人は物持ちがいいねえ。
ところでここには85のワイナリーから160種類のワインが出品されており、まさかそのすべてを試飲するわけにもいかない。
店のひとのアドバイスにより、わたしたちは狙いを絞った。
ワイン説明文を見て、ブドウの種類はリースリング、味は甘口のやつを選別。
辛口を楽しむのがツウなのかもしれないが、ワインの味覚がお子様なわたしたちは、舌にやさしい甘口専門。
ブドウはリースリング以外を欲しないわけではないが、同じライン産リースリングで味がどう変わるのかに興味があり、狙いを絞った。
いろんなワイナリーがある。
これは王族ワイナリーのあるヨハニスベルクの若き醸造家。そのほか年齢も経験もさまざまなひとたちがワインづくりに励んでおり、そうしたストーリーに触れることが面白い。
ワインは、同じリースリングの甘口といっても舌を刺激してくるもの、あくまで軽くスルリと喉を下っていくものなど千変万化。試飲して「これは買い!」となることは3回に1回という感じだった。
ボトルからボトルへとさまよい歩くうち、絶景のブドウ畑を見せてくれたボッパルダー・ハムのワインに行き当たり、味をおおいに気に入って購入。
マティアス・ミューラー醸造所。わたしたちがボッパルダー・ハムへ行ったのが日曜だったせいで逃した出会いだったが、ここで取り返すことができた。
こんな感じでお買い上げ3本(あわせて43ユーロ)。
ワインの試飲は対面式で細かいところまで聞きながらやるのもいいが、時間がかかること、コロナ下であることに加え、とりあえず自分で決めてやってみたがりなわたしたちの性分からして、この「コイン片手にうろつきまわる」方式は正解だったと思う。
なお、1回に20ml出てくるワインだが、味をチェックするだけならふたり分として十分。あとは10ユーロ出して10種類にとどめるか、20ユーロ出して20種類試したいかというニーズの問題やね。
最後にタイトルの「人生を狂わせつつある」は、過去15年ほどの間ほとんど酒を飲まずにきたわたしたちが、ここへ来てちょこちょこ飲酒を再開し、もしかしてパンドラの箱を開けちゃった?!な意識もありという。
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