尿路感染症が疑われるペニーを連れてブリュッセル郊外へ。
ブリュッセルは100万都市なんだけど、わずか15分ほど走っただけでこの田園風景なんだから可愛らしいもの。東京みたいにどこまで行っても建て込んでるのと比べれば、実に人間的だと思う。
「英語がちゃんと通じる獣医さん」と紹介されて訪ねてきたクリニック。
ペニーさん、どんな勘がはたらいたのかちょこちょこと自発的に入っていく。
そこで待っていたのは超音波診断装置。
尿路感染症が疑われるときは、これで膀胱の腫れなどをチェックするのが基本なんだと。
アメリカでは預かった保護犬を何度か診てもらったことがあるが、こういうのは経験したことがない。わりと大雑把に診断を下し、抗生物質を処方しておわりってのがアメリカ式だったような。
一方でベルギー式は、治療によるペットのからだへの負担を最小限にとどめるため、慎重に見ていくというスタンスなのだろうか。
とはいえ超音波診断は格闘技さながらの様相を呈することに。
膀胱を見るためにはペニーに仰向けになってもらわなくてはならんのだが、ご存じのようにイヌはリラックスして飼い主に腹を見せるとき以外、仰向けなんていう無防備な姿勢はとりたくないから、猛然と抵抗する。
それを柔道の技のようにして抑え込むんだが・・・
下の選手のようにペニーも四肢を使ってフル抵抗。上半身をわたしが、ばたつく後ろ脚を妻が押さえつけ、なんとか診察してもらった(このとき吠えも噛みつきもしなかったペニーはほんとにいい子だと思う)。
やはり膀胱が腫れていて感染症の可能性が高まったが、まだ確定診断はせず、おしっこを採取して調べることに。
取り出してきたのは注射器。膀胱から直接抜き取るのだという。
ばたつくペニーを仰向けにさせたまま、というか事故ってほしくないから超音波のときよりずっとしっかりと押さえつけて備える。
ペニーのお腹に針が刺さる。
かわいそうで見ていられないけど、必死に目をこらす。
なのに膀胱は空っぽで、なんにも採れなかった。そりゃそうだよ、直前に散歩したばかりだもん。
だからこういうのは事前に指示しといてくれれば・・・という言葉があふれ出しそうになる。
電話で十分に状況を伝え、尿路感染症の可能性が高いと獣医さん自身も言ってたんだから、そのときおしっこを溜めてきてとか、小瓶に摂取して持ってきてとか言ってくれればいくらでも対応できたはず。
「ベルギー方式」は動物に優しいのかそうでもないのかよくわからん状態になったのだが、獣医さんいわくこの方法は動物にとって普通の注射ほどの痛みしかないので、人間が心配するほどの負担はないとのこと。
じっさいペニーも針が刺さるときのリアクションはこれといってなかったと思う。
おしっこは採れなかったが感染症で間違いなかろうという診断により、クスリが出た。
アメリカで馴染んだ抗生物質ではなく、炎症を鎮める系のゆるやかなものらしい。
以上の診察と投薬に加え、虫よけの飲み薬2回分(アメリカだったらこれだけで80ドルとか)の料金がいくらだったかというと、なんと90ユーロ(1万1700円)で済んでしまった。
このクリニックだけが特別に安いということは考えにくく、ベルギーではこんなものなのかもしれない。
だったら助かるなあ。
お世話になりたくはないけど。
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