民泊をやってみるかもしれないプロジェクト、関西のある業者さんから受け取った見積もりを見て卒倒するかもおもたよー。
開業するにあたっての初期費用が300万円を超えるというのだ。
新車一台買えるやんけー。
個人で開業するのにこれだけの金額をブッこめる人はざらにはいないだろう。心のどこかで「民泊とかやってみよか」と思っていた方にとっては、あまりにもバッドニュース。
だってエアビーとかの民泊って、わが家の余った一室を旅人に提供して何十ドルかを受け取るささやかな副業だったはずだよね?
いつのまにこんな大袈裟な話になってしまったのか。
てかオレ300万円出さないと民泊ホストになれないの?
この話にはカラクリがある。
まず、見積もりを出してきた「業者」だが、正式名を住宅宿泊管理業者といい、民泊の運営をホストになりかわって行うもの。
民泊物件にホストが住んでいて宿泊客に対応する場合は不要だが、わたしのケースのようにホストが不在の場合、ゲストの面倒を見てくれる管理業者と契約する義務がある。
業者は、現場の運営だけでなく、ネットでの集客と予約のコントロール、宿泊者数の行政への報告などあらゆる仕事をしてくれるから、ホストはその気になれば指一本動かすことなく民泊を運営することができる。
最初にカラクリと言ったのは単なる悪ふざけで、ホスト不在民泊に管理業者を必ず入れるこの政策は、日本の観光産業の質を保つため当然の措置だと思う。
ただし管理業者は商売だから、なるべく儲けようとする。
かれらが民泊オーナーから受け取るお金は、大別して2種類。
ひとつは、月々の売り上げから一定割合で受け取る報酬(業務の請負範囲しだいで15~20%が標準的)。
もうひとつが開業のための初期費用で、これはチャンスが一回しかないから、業者としても力が入る。
ある業者からもらった初期費用の内訳をざっとご紹介。
運営代行初期費用 80万円
・物件を魅力的に紹介する写真撮影や、外国語の紹介ページ作成
・無人チェックインシステム(タブレットを通したやりとり)
・防犯カメラ
・キーレスロック(ナンバー式など)
・初期清掃
・開業までの業務を仕切る担当者の人件費 など
設備関連 45万円
・消防設備工事(自動火災報知機など)40万円
・ネット環境構築
営業ライセンス取得代行 30万円
インテリアコーディネート 150万円
・現地調査のうえデザイン作成、家具什器の選定と購入、撮影
・家具、家電製品、備品、小物など実費、家具組み立て費 など
〆て305万円!
一読しておわかりのように、業者としては
「快適でハイセンスな物件にすればするほど高く売れます!」
「初期費用を回収したあとは高収入をエンジョイしてください!」
と押してくるわけで、自分は指一本動かさなくてもお金持ちになれると思うひとはガンガン挑戦すればいいと思う。
でもうちの場合そうはいかない。
第一に観光(とくにインバウンド)の回復にはかなりの時間がかかるだろうし、回復しきるかどうかもわからないから、開業するにしても地味にやるのが正解だろう。
業者さんの提案内容のうち、かなりの部分は自力で可能だと思う。
無人チェックインやキーレスロックなどは市販のシステムを導入できる。
外国語のサイト制作は、当面のあいだ日本語と英語だけでよく、ネイティブがいるから助けは不要 キリッ。
営業ライセンスについて調べたところ、それなりの手間をかければ自前で問題なくできる。
こうした準備のため、ある程度の期間を日本で過ごす必要があるが、急いでないから大丈夫・・・
というように自助努力路線を行くのであれば、とるものとりあえず開業するまでに数十万円あれば済むのではと考えている。
なわけねーだろ消防設備工事(自動火災報知機など)40万円ってだけでもすごい出費じゃん?!という貴方はいいとこ突いていらっしゃる。
火災報知器は消防法で義務付けられており、しかも取り付ける装置によっては専門資格のある人にしか工事ができず、そのばあい40万円かかるってのはホントらしい。
ところがわたしの家の構造では自分で工事可能な装置が認められており、それだと6~7万円で済むはず。
実はこの件、消防法の難解な表現が誤解をさそうせいか「40万円かかる」という誤った情報がネット上にあふれている。
今回の民泊管理業者さんは、そのことを知ってか知らずか、高いほうの火災報知器を提示してきた。
初期費用はチャンスが一回しかないから業者も必死なんだろうと思った理由はこのあたりにある。
業界全体が干上がってたいへんなことはよくわかる。
だけどこっちだってギリギリなんだよね。
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