Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

怒鳴る日本男児

5月15日、バンコクからJALで羽田まで飛んだゴルファーの君。君はこの日スワンナプーム空港で一番かっこわるい日本人だったと思う。

ファーストクラスのチェックインカウンターに群がった君たち一行は、よく日焼けした肌に充実のゴルフライフを感じさせる中年集団だったが、不幸なことに荷物の取り扱いをめぐるトラブルがあったようだね。

リーダー格と思しき君は、地上スタッフに怒鳴り声を浴びせていた。「タグだよタグ!タグが◇&※▲@」という君の怒声を浴びて、そこにいたタイ航空の若いスタッフたちは全員が凍り付いていた。

君の怒声は、君のすぐ近くにいたスタッフのトランシーバーを通じて周辺にいたスタッフ全員のトランシーバーに送られ、そのスピーカーが拡声器の役割を果たし、半径20メートルほどの「怒声の場」を形成していた。

ミスは誰でも犯す。おそらく君自身もここまで五十数年の人生をノーミスで過ごしてきたわけではないだろう。君自身が思っているよりも迷惑をこうむって腹を立てたひとたちがいたかもしれないが、怒鳴ってもしょうがないと思い、おだやかに君を指導してくれたかもしれない。だが君はバンコクの空港で、地上で唯一の正義のような顔をしてタイ航空のスタッフをなじり、怒鳴り倒していた。

どうしてだろうね。

ふと思ったことがある。この怒声兄さんは、アメリカへ行ってもフランスへ行ってもこんな感じなのだろうか。それとも東南アジアだから強気に出ているのだろうか。そうだとしてもタイ航空のスタッフは、立派な紳士からお叱りを頂戴しているなどとは思っていなかっただろう。むしろ、日本人にはときどきこういう客がいるのだと、過去の経験を振り返っていたのではないか。

そのあと日本航空のラウンジで寛いでいたら、怒声兄さんが仲間とやってきた。このラウンジは軽食を注文するとぱっぱと盛り付けて渡してくれる方式になっている。怒声兄さんがどうするのかと思って横目で見ていると、つかつかっとカウンターにやってきて「どんぶり!」というひとことでご注文。お願いしますとかありがとうとかいう言葉を知らずにここまで来てしまったのかもしれない。

日航ラウンジのミニ和食膳

ご想像のとおりゴルファー集団は、あっちの席こっちの席に固まって座り、「おっ疲れさまぁ、わはははは」と豪快な慰労会を開始。静寂が売りものの日航ラウンジに、酒臭いざわめきが拡散させていた。いうまでもないことだが、日本人男性として生まれた恥ずかしさを久しぶりに感じさせられる一幕だった。

ついでに乗機後の怒声兄さんは、ラウンジで一杯やってご機嫌は回復していたようだが、座席のテーブルをガタンガタンと荒っぽく出し入れしたり、CAさんにうるさく話しかけたりと、恥の上塗りに余念がなかった。

君のようなタイプの耳にこういう話が届くとも思えないが、いちおう言っとくな。君にサービスを提供してくれるひと、特に若いひとたちに接するときは、君のスゴさを顕示する代わり、相手が「ああこの仕事をしていてよかった」と思えるような優しい言葉をかけてあげようじゃないか。ミスがあったとしても、怒鳴って叩き伏せるのではなく、辛抱づよく交渉することで双方にとってよい結果になるようリードするのが年配者の役割だと思うんだけどどうかね?

ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。

にほんブログ村 海外生活ブログへ

アジアランキング