庭師Tさんは元気がなかった。今月のお給料を渡すとき、少しせき込んだ様子で差し出してきたスマホの翻訳画面にはこう書いてあった。
「次の作業日はお休みしてもいいでしょうか。祖父が亡くなりました。葬式があるのです」
I'm so sorry...
と返した英語は理解しなかったかもしれないが、胸に手を置く仕草でこちらの気持ちはわかってもらえたと思う。
わたしもスマホを取り出して入力。
「お休みはまったく問題ありません。今日もいろいろあるだろうから、早く帰ってもらっていいんだよ」
コプチャイ(ありがとう)と応えたTさん、そのあと庭を掃く音が聞こえていたが、15分後にはもういなくなっていた。あとには手つかずの落ち葉と、出しっぱなしのスプリンクラーが。
過去にこんなことは一度もなかった。おじいちゃんの死がよほどこたえたのかもしれない。可愛がってもらっていたのかも。表情に元気がなく、からだがひとまわり縮んだように見えていた。
その庭ではマンゴーの実がつき始めているが、途中で落っこちてくるやつがいる。
おまえ諦めるの早すぎ。だがせっかくなので実を少し削って味見してみた。サラダ用のパパイヤみたいに酸っぱい。ただし以前にコメントでいただいた体験談のように繊維が多いとか味がセメダインみたいといったことはなく、まだ青臭くはあるが、素性のよい実という感じがした。知らんけど。
ちょっと残念なのは、10センチくらいに育った実が時々落ちてくること。
だからおまえら諦めるの早すぎ。やきもきしちゃう。何十個もなっているんだから心配する必要はないと思うが、それでもやきもき。
Tさんが少し元気を取り戻したころ、マンゴーが収穫期を迎えるだろうか。みんなでゆっくり行こうね。
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