振り返れば学校の成績がまあ悪くなかったなかで体育だけは今ひとつだった。
通知表で5をもらったことはあるかもしれないが、たいていは4だったような気がする。
反射神経は悪くなかったと思う。それがどうして高い運動能力につながらなかったのか。
大学生ぐらいになって気づいたことがある。
自分は歯を食いしばれないという事実に。
顎の変形とかはなく、ものを食べるときはしっかり噛んでいる。ただ、力いっぱい走る・重い物を持ち上げる・バットを振るといったパワー系の動作のとき、わたしは歯を食いしばっていなかった。その代わり、上下の歯が1センチほど開いた状態で、舌の付け根から喉にかけての筋肉を硬直させていた。
おそらくこれでは自分がイメージするような力が出なかったのだろう。
プロ野球の王貞治選手は連日深夜までバットの素振りに打ち込んでいたが、歯を食いしばりすぎたせいで「ボクの奥歯は擦り切れて真っ平です」と語った記事を読んだのが大学生のときで、ああそうだったのか、歯を食いしばらないとパワーが出ないのかと思いはしたが、長年の習慣の改変はむずかしく、テニスや草野球のとき歯を食いしばるよう意識はしていても、ついにうまくできることはなかった。
テニスと野球で思い出したが、わたしは球技が苦手だった。バットやラケットが思ったようにボールに当たらない。
理由はボールから目を離していたからだと思う。王選手は「調子のいい時はボールの縫い目が見えます」と語っていたが、それはボールが目の前に来るまであの大きな目玉で睨みつけていたからだろう。
だがわたしは、ボールを飛ばす方向に目が行ってしまい、打撃の瞬間までボールから目を離さないという球技の基本中の基本がうまくできていなかった。たまにバットの芯でボールをとらえることがあっても、歯を食いしばっていないから思ったほど遠くに飛ばないという球技不自由者であった。
今はどうか。スポーツなんてやらない代わり、ペニーのため一日に何十回もボールを蹴っている。
これの素晴らしいところはボールが飛んでくるのではなく、地面に転がっていること。だがそれですらわたしは、蹴る瞬間にボールから目が離れ、思った方向に飛ばないことが少なくなかった。
そこで現在では心を入れ替え、「ボールから目を離さない!ぜって離さねえぞ!」と心で掛け声しながら蹴っている。
するとあら不思議、ミスキックが激減してボールが思った方向と距離に飛ぶようになり、ペニーを効率よく運動させられるようになった。
だけどまあ、ある意味完全に手遅れだよね。球技を心底楽しむことができなかった人生(テニスコートで女子の目を引くプレーができなかったとか)に後悔はある。そういうのって自己評価の低さにじわじわ関係してたはずだし。
それでも今はシアワセさ!ペニーがいて、広い庭があって、思い切りボール蹴りができるんだから(笑)
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