それはバンコク高架電車のトンロー駅を出て階段を下っていたときのこと。
外国人観光客がカメラを向ける方向に目をやると、そこには可愛らしいモデルさんたちが。
ネコ会議?それともエサがもらえる?なんにせよおっとりとした風景だ。
この界隈は3~4階建てのかなり古いビルが並び、昔ながらの商店が軒を連ねている。
店先で焼き鳥をあぶるおっちゃん。手作りのおやつ。マンゴー&名物カオニャオ・マムアンの専門店も繁盛している。
マッサージ屋の店先ではオネーサンたちが茶を飲みメシを食いスマホをいじくりながらダベり、まさにタイのにおいがここには立ち込めている。
この界隈がどういう場所にあるのか、上から見てみよう。日航ホテル20階から見下ろすと、中央の細長い屋根が鉄道駅。そこにへばりつくようにして古くさいビルが並んでいる。
昔ながらの商店ありネコ会議ありのこの町内は、おそらく遠くない将来につるっとした高層ビルに置き変わるだろう。焼き鳥屋はおしゃれなスイーツ屋に、マッサージ屋は高級店に置き変わり、いったいここがバンコクなのかトウキョウなのかわからなくなるだろう。伝統的なタイのテイストを保存する努力がなにがしかは行われるかもしれないが、少なくとも街ゆくひとびとの心を癒すネコたちの姿は絶無になるだろう。
都市の発展をノスタルジーのみで論じることは愚かしいが、個人的にはまず強い痛みを感じてしまう。この「子猫のいる街」を、わたしたちはあと何回歩くことができるだろうか。
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