1時間かけて義両親宅を訪ねた。わたしたちはふたりとも本調子ではなく、明日の倉庫への送り出しに向けて作業が山ほどあってギリギリなんだけど、気合を入れて出かけた。これから3年の任期のうちにアメリカへ戻ってこられるかどうかハナハダあやしいという思いがあったから。
義両親宅は、近くに住んでいた義妹1号一家が転勤で北部へ去り、子や孫の声が半減したぶん、ひっそしりしているように感じられた。ここでまたひとり(とその連れ合いと一匹)が去るのかと思えば、義両親は一層の寂しさに包まれているのかもしれない。そんなことをぐだぐだと口にされるタイプではないけれども。
「出来合いのものばっかりでゴメンねー」と言いながらも張り切って用意してくれたランチに舌鼓を打つ。義両親もまた世界を転々としながら計4人の子供を育て上げ、決して器用なタイプとはいえないが、誠意と粘りで社会人としての務めをまっとうした。ついでにいうと義父さんは軍隊に20年、役所に20年以上つとめたせいで、両方から年金を受け取る資格を得て、引退者としては格段に恵まれた状態にある。せっかくそういう境遇にたどり着いたのだから、楽しいことをいっぱいして、1日でも長く達者でいていただきたい。とはいいながらお年がお年だけに心配も少なくなく、これから3年間の留守は気が咎める部分もある。
前回訪ねたとき引き取っていただいた観葉植物が玄関ドアの前でがんばっていた。ありゃ、うちにいたときよか元気じゃね?と首をかしげつつ、葉っぱを撫でてみた。
退出のときがきて、玄関前に4人ならんで記念写真。そのあと義母さんが妻と二度目のハグをしながら涙ぐんでいるのが離れて立っていたわたしにもわかった。少し気弱になっておられることは確かだろう。
クルマを出す。よく陽の当たる玄関前にぽつんと立ち、手を振る義母さん。振り返す妻も、胸にせまるものを押さえている様子。こうやって時のひとかけら、ひとかけらが大切なものになっていく。帰宅した瞬間から髪の毛さか立てて作業再開したわたしたちではあるけれども。
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