Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

妊婦さんが魔法のジュータンに

うちではアメフトは見ないが、たまたまつけたテレビでスーパーボウルのハーフタイムショーをやっており、人気のシンガーソングライター リアーナ が歌と踊りを披露していた。

というカタカナだらけの文章は、いかにアメリカ文明に毒されているかの動かぬ証拠だが、きょうはアメリカの悪口ではない。

リアーナのステージ、彼女自身の動きはかなり地味だった。激しいダンスは鳴りをひそめ、腰をゆるゆると横に振るような動きしかしない。それもそのはずリアーナさん、ひと目でそれとわかるほどお腹が出ており、妊娠まちがいなしの御様子。昨春の第一子出産から10か月というスピード展開で世間を驚かせたわけだが、わたしの関心は「ハーフタイムショーのスタッフ、たいへんやったろなあ」という方にあった。

第一子を妊娠中のリアーナさん(2022年)

ショーへの出演は去年から決まっていたことに違いなく、準備を進めるうちリアーナさんご懐妊となり、ステージ演出は大きく変更されたことだろう。とはいえ世界が注目するスーパーボウルに生ぬるい演出は許されない。彼女を乗せた魔法の絨毯のようなミニステージが空中高く吊り上げられたりするスリリングな部分もあり、ひやひやしながら観たひとも多いんじゃないか。

これ、日本だったらまずあり得ないよね。妊娠中のリスクについての考え方からして違うってのもあるけど、「こんな危ないことさせて!」と非難轟々まちがいなし。でもリアーナさんは誰に強制されたわけでもなく、自己責任でこれを選んだはず。

「魔法の絨毯?面白いわねえ、落っこちないんだったらいいわよ」みたいな感じで。

スタッフもプロだから、魔法の絨毯が揺れたり傾いたりしないよう、しっかりお金をかけて安全策をほどこし、入念なリスク管理をしたのにちがいない。

日本だったらどうだろう。いくらアーティストがOKといっても、ゼロリスクおじさんが出てきてアイデアを潰しにかかるのがジャパンスタンダード。リアーナさんがすべて理解したうえでスーパーボウルの名に恥じない最高のステージをやりたいと訴えても、「イヤあなたのそういう個人的な思いよりも、全体の利益が大事なんです」とか最後は集団主義まるだしの態度に出てくる。あるいは「わたしたちはよくても視聴者からの非難が」という自己主張のなさを発揮するかも。

と妄想しながらリアーナのステージを観て、アメリカ人が敢然とリスクをとって行動する姿はかっこいいなあと思ったわけさ。(なお今回のステージで、彼女自身の動きはゆるゆるだったが、取り巻きのダンサーたちの素早くパワフルな動きをうまく交差させることにより、見映えのする演出だったと思う)

いま日本から、やる気のある若者が次々と海外へ「逃げ出す」ことが増えているというが、この状況が十年後、二十年後にどういう影響を与えるのか。なんでも「異次元」をつければすごい政策のように見えると思っている小粒な政治家しかいない日本のことが心配です。

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