部屋で仕事をしていた妻が「なんか騒ぎになってるうう」と言ってきたので外を見たら、赤青の回転灯がくるくる回り、またしても警察沙汰が発生していることは確かだった。よく聞こえなかったが「降りてこいゴルルルァ」みたいな声がしたという。
ちょうどペニーの散歩に出ようと思っていたときだったので、軽薄な野次馬ではなく堂々たる散歩人としてわたしは家を出発した。路上はこのようになっていた。
車線の両方から捜査車両が突っ込んできて、悪いやつを挟み撃ちにしたもよう。この時点で現場はすでに平静になっていたが、歩き回る7~8人の屈強な私服警察官の表情は・・・と思ったら、彼らの胸にはFBIの三文字が入っていた。
FBI事案と判明した時点で、映画観すぎのわたしは早速ストーリーを確定させた。ホシはヤクの大物売人または大組織に属する運び屋。これをFBIは長期にわたって泳がせ、まとまった量を運ぶことがわかった時点で満を持して逮捕に踏み切ったのだろう。運送ルートはきっちり調べてあり、待ち伏せして挟み撃ちという映画のような手法が可能となった。んじゃあるまいかね。
FBIの捕り物なんてものを生まれて初めて目撃してワクワクになったペニーとわたしは、しばらく離れたところまで行って道路を渡り、なんにも知らない呑気な散歩人のていで現場に近づいていった。捜査官から制止をくらうだろうと思っていたので、いつでも「驚いてきびすを返す」用意はできていたが、なんにも言われなかった。礼儀だから手前でいったんは立ち止まったが、目が合った捜査官は渋い笑顔で通っていいぜ!のサイン。日本だったらとにかく追い払われるところだと思うが、アメリカは危険さえ去っていれば一般人を現場に近づけてくれるのかね。おかげでこんな写真も撮れた。
後ろ手に縛られて座っているのがホシ。おしゃれで高そうなスニーカーを履いている。ホシはもうひとりいて、互いに会話のできない距離に離されていた。中央の黒いクルマは高級スポーツカーで、トランクが開けられ、内張が外されて徹底捜索中。
トランクを覗き込んでいる捜査官はホシと同じくアフリカ系で、ヘアスタイルも似ており、もしかして潜入捜査官的な・・・?
と妄想がはかどる自分にマジレスすると、捜査官はホシから取り上げたと思われるピストルをビニール袋に入れていたし、最初に妻が耳にした叫び声の緊迫感を考えれば、運悪く現場に居合わせれば流れ弾のひとつやふたつ食らうような事案だったことだろう。
クワバラクワバラ。
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