日本人がそんなにプーチンのこと好きだとは知らなかったので驚いた。
今から5年前のことだが、アメリカの代表的な世論調査機関(ピューリサーチセンター)の調査によれば、18~29歳の日本人の49%がプーチン大統領に好意的な意見を持っていることがわかったという。
若者だけではない。日本国民の28%がプーチンに好意的だった。
いったいなぜか。
民主主義国のリーダーの言動はいろんなことに気を遣いながらだから曖昧なことが多いが、プーチンのような独裁者は小気味よい啖呵を切って男ぶりをアピールできるからかもしれない。
ある報道によれば、日本のデパートで毎年一番人気のカレンダーのひとつがプーチンのものであり、人気はアイドル並みということか。
今はどうなっているだろう。侵略戦争に走ったならず者プーチンを、それでも支持する日本人は多いのか。
今回のウクライナ侵略のようなことが起きたとき、日本人がよく口にするセリフで「そうする気持ちもわからなくない」というのがある。
ロシアがあらゆる手段をつかって垂れ流す「最初に攻撃してきたのは相手側」「化学兵器を使ってきた」といった真っ赤な嘘に、いつの間にか洗脳されているのだろう。
それと、外交や国防といった国家のリアリズムについて踏み込んで考えることをしない国民性ゆえ、好き嫌いだけでしかものごとを計れないのかもしれない。
このたびのプーチンの振る舞いは、たとえば中国が東京にミサイルを撃ち込み、これ以上攻撃されたくなかったら停戦交渉に応じろ、南西諸島と九州を分捕るだけで許してやると言ってくるのにひとしい暴挙であり、気持ちがわからなくもないとかいう話では断じてない。
ウクライナのどさくさの渦中でぴっかぴかに光ったのはフランスだった。
フランス政府がウクライナ在住の自国民に退避勧告を出したのは、ロシアによる開戦のたしか前日だった。
日本をふくむ他国の政府はそれより何日も前に国外退避をうながしていたが、フランスはなぜそれほど遅れたのか。
米露の仲立ちをすることで歴史的な政治家になるチャンスと見たマクロン大統領の考え、あるいはそれに忖度した当局の決断だったんじゃないか。戦争は俺が止める!といっておきながら自国民を避難させようもんなら、ロシアから「ほら見ろやっぱり」と言われるから。
だとすれば大統領殿の大冒険に付き合わされたフランス人こそいい面の皮。退避勧告から24時間以内に荷物をまとめ、フライトキャンセルされまくりの飛行機を取って脱出できるひとなんてそういないから。
火事場ではいろんな素顔が見えてくる。
そしてウクライナの悲しみについて考えるたび、からだが震えるほど腹が立つ。21世紀はこんな暴虐がはびこる世界になろうとしているのか?
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