コロナによってわんこを取り巻く事情も大揺れしている。
ステイホームのつまらなさを紛らわせる目的でイヌを飼い始めたひとがゴマンといて、その後「こんなつもりじゃなかった」「もう飼えない」といって放棄される子が世界で激増したなんてのは最初からわかりきっていた話。
なぜ自分はペットが必要なのか、
どうしても必要なのか、
飼い主としてどこまで責任を負えるのか、
こうした自問自答を繰り返し、時間をかけて決心した飼い主と比べて、急に手持ち無沙汰になったからペットでも飼ってみよーかとかいう行動の軽さといったら。
ただ、そういう流行りのなかで「とりあえず命をながらえた」イヌ・ネコが多かったことは事実。
レスキューのひとたちは、コロナバブルで殺到した申し込みに対応しようと必死に保護犬・保護猫をかき集めながら、その子たちがふたたび放棄される可能性の高さを十分に認識しつつも、今すぐ殺処分になるよりはずいぶんマシ・・・という思いで活動してきた。
引き渡しのとき、飼えなくなったらどこかへやってしまう(ことで殺処分になる)のではなく、必ずレスキューに返してくれと口を酸っぱくして説明してきたのに違いない。
なにもわかっていない、わかろうとしないお気楽な人種と、そのひとたちの人生を裏で必死にささえる人種とでこの世は成り立っている。
わんこのコロナ特需がおき、保護犬が出ればすぐに引き取られ、ブリーダーなどが販売する子犬もじきに底をついたところで、悪い連中が活躍しだした。
アメリカに子犬を輸出してひと儲けしようと考えた業者のなかには、さっさと事を片付けるために不正をはたらくものがいた。
去年、アメリカの保健当局(コロナで一気に有名になったCDC)は、狂犬病ワクチンの不正な接種証明書を持って輸入されてきた子犬450匹あまりを摘発。この数は、過去2年間とくらべて52%増だった。
ご存じのように狂犬病のワクチン接種は、費用がかかるだけでなく、時間制限のあるなかで2回行わなければならないから、輸出を急ぐ業者にとっては最大の障害といっていい。
急増した不正行為は、アメリカ側の悪質ブリーダーが海外ブローカーをそそのかしたケースもあるといわれている。
こういう連中の暗躍により、これまでアメリカが必死になって減らしてきた狂犬病が再拡大したのではたまったもんじゃない。
よってCDCは、狂犬病のリスクが高いと考えられる113ヶ国からの犬の輸入を今後1年間禁止にした。
対象国はケニア、ウガンダ、ブラジル、コロンビア、ロシア、ベトナム、北朝鮮、ネパール、中国、シリア、そしてバングラデシュなど(狂犬病がほぼゼロとされる日本は含まれていない)。
今回の措置により国際転勤族かいわいから悲鳴があがっている。
アメリカ人が飼いイヌを連れて帰国する場合も措置の対象となっているからだ。
方法がないわけではないが、異様なまでに複雑な手続きに費用も時間もかかり、そうでなくてもコロナ禍で身動きがとりにくいなか、どうすればいいのかわからないという。
わたしたちも危ないといえば危なかった。もしもペニーをダッカで飼っていたら、今回の禁止措置の直撃をくらっていたかもしれない。
ちなみに日本政府が「清浄国」と位置付ける狂犬病のない国は、日本のほかイギリス、オーストラリア、スカンジナビア半島の一部など数か国しかなく、世界のほとんどの地域では狂犬病による死者が毎年5万5000人も出ているという。
人間が受ける予防接種の効果は3年といわれており、妻の職場ではどこかへ赴任するたびに注射するのが普通で、退職しないかぎりそれが何十年でも続くことになる。
地球はほんとに荒々しい。
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