人物紹介にも書いたように、妻はわたしより高性能。
具体的にいうと理解・洞察・分析・実行・対人関係能力がわたしを軽く上回っており、そのことは公私にわたるトラブル解決の手腕によく表れている。
以下、イヌも食わないヨメ自慢をひとしきり。
来月からブリュッセルで始まる妻の仕事は、政府の役人として他国にアメリカの立場を説明し、アメリカの政策をよく理解してもらうことが主な仕事になる。
だが世界には反米色が強い国がたくさんあり、親米国でもアメリカに対して厳しいメディアはいくらでもある。
アメリカをぎゃふんと言わせる気満々で乗り込んできた記者と向き合うとき、いかにして得点するか、いかにして失点を防ぐかが役人にとっての重大テーマ。
そのトレーニングが今おこなわれている。
記者はいろんな技を使ってくる。
意地悪な質問で相手を怒らせ、飛び出した不用意なコメント(不正確だったり感情的だったりな)を目いっぱい利用して記事を仕立てるという伝統芸。
悪質なのは、質問の冒頭にウソ情報を入れておき、相手がそのことを忘れて話を終わらせようもんなら、「否定しなかったから事実」というウソ報道を仕掛けてくる記者・・・
なんていう実例をもとに、落とし穴を避けるテクニックを伝授されるわけだが、ただ講師の話を聞くだけじゃなく、実地訓練もある。模擬会見だ。
駐在先の架空国家とそこが抱える問題(経済や人権問題など)、それに対するアメリカの関与(援助や批判・制裁など)が設定され、前日からそれを頭に叩き込んで模擬会見にのぞむ。
記者役は生徒が持ち回りでつとめ、せいぜい役人を追い込むべく最大限の努力をしてくるから、それに足を取られないよう努めて冷静に話を運び、同時にこっちが伝えたいメッセージを効果的に発信しなければならない。
今回はリモートだからパソコン越しだが、意地悪記者からの容赦ない突っ込みはなかなかのものだった。
妻に答弁役がまわってきて20分ほどのセッションが終わったとき、記者役をふくめた生徒たちから拍手が起きた。
妻自身は「穴だらけ」だったと思っていた(実在する国の話だったら自分の知識で話に肉付けできるが、架空設定ではどうにもならん)ので驚いたというが、ポイントはそこじゃなかった。
会見中、どれほど意地悪なボールを投げ込まれても妻は笑顔を絶やさず、温和に語りかけていたことが「スゴかった」のだそうで。
「その辛抱、ぼくには無理(笑)」
「あれほどの誠実さで向き合われたら、腹黒い質問できないだろなあ」
「アメリカからの売り込み、めちゃしっかりやってたし」
それが彼女のコミュニケーションスキルといってしまえばイヤらしい響きになるが、実際のところ幼いときかなりカコクな環境下で身に着けた「感情的になったら負け」という行動原則のなせるわざだと思う。
感情は歯を食いしばってでも横に置いておき、しっかり実(じつ)を取りに行くタイプは、広報の仕事向きだとわたしも思う。
問題がひとつあって、もしも妻がこの仕事で芽を出し、認められるようになると、点数をかせぎたい上司(←これは当然)から仕事をふられまくって馬車馬のごとく・・・という心配はある。
以上、あくまで仮定のはなし。
きのうは夕方の散歩に出るなり強風が吹き始め、そのへんの立て看板が飛んでくるような勢いだったため、ペニーさんには無理をお願いして早々にトイレを済ませていただき、急いで帰宅。
そしたら妻が青い顔で待っていて「なんかあったらどうしようかと思ってた」とかカワユイことをおっしゃる。
室内にいるほうがすごい音がして、じっさい建物が揺れるほどの風だったという。
夜遅く、風が収まったのを見て最後の散歩に出たら、こうなってた。
フェラーリで思い出したけど、うちのスバル・フォレスターちゃん、どうやら手放していくことになりそう。
とても残念なんだが、いろいろあって仕方なし。
出発までの2週間、倒木にぶっ壊されないよう気をつけなくちゃ。
運転に気をつけるのが先?
そりゃそやな。
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