Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

タカはすごく可愛かったけれど

砂漠リゾート「アルマハ」の有料アトラクションには手を出さないわたしたちが、Wild Life Drive のほかに参加したのは鷹狩りショーだった。

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午前7時、地平線が赤くそまるころ、ホテル下の砂ッ原に集合。

4人のスタッフがそれぞれ面倒を見ている子の技を披露してくれる。

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純白のタカ。むさぼり食う肉の色との対比が目にも鮮やかという・・・

ちなみにスタッフの右耳にかかっているのは、待機中のタカを落ち着かせるため頭にすっぽりかぶせる目隠し。

それを取り外されるやタカたちは元気いっぱいに飛び立ち、鷹匠がかざす肉片めざして急降下してくる。

観客の頭すれすれに飛び込んでくるのは迫力満点だが、かれらはそれをわかってやっているのだろうか。 

 
 
 
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フクロウも鷹狩りをする。

ふわふわとした頭部と、ぱっちりおめめが可愛らしい。 

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鳥たちは種や個体によって個性がちがい、たとえばこのフクロウちゃんは、いったん飛び立つと勝手に休暇ととってどこかへ行ってしまうことがあるという。

下の写真、鷹匠さんの手袋の下に黒いコードのようなものが見えるが、これはフクロウを追跡して連れ戻すときに使うGPSの発信機。 

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生まれたときから人間に飼われているこうした子たちは、野生を生き延びる能力を持たないが、本人はそれを知らないで放浪したがるわけで。

ところで中東の砂漠の民が鷹狩りを始めたのは2000年ほど前のことで、目的はもちろん食料調達だった。

砂漠にはトカゲが多く、捕まえやすいことから重要なタンパク源になっていたが、冬場には姿を消してしまうため、代わりのものが欲しかった。やがてタカを飼いならし、小動物を捕まえてこさせるようになったのだという。

たくましい砂漠の民の生活史を見るようで、とても楽しかった。

 

だが21世紀のドバイには息苦しいものを感じた。

まず、ネットの規制が厳しい。

妻はここへ来ても毎日数時間は仕事に追われており、役所のシステムにパソコンをつないでいるが、ホテルの Wi-Fi のセキュリティなんてないも同然だから、まっすぐつなげるわけにはいかない。

このため通常はVPNというトンネルのような仕掛けを使うことで外から情報を読み取られないようにするのだが、ここドバイではVPNが使えない(ので妻はウラワザぽくむにゃむにゃ・・・)。

VPNを使うと、実際にはドバイにいても日本など他国にいるのと同様の状態になることから、政府が接続を禁止するサイトが利用できるのだが、ドバイ政府はそれがイヤなもんだから、VPNにつなげないようにしてある。

情報統制大国として知られる中国ですらVPNが使えるというのに、御念の入ったことだ。

 

ドバイ政府が接続させてくれないサイトにどんなものがあるかというと、ムスリム国家だからエロサイトが禁止なのは当然として、国民が「目覚める」ようなサイトもご法度。

署名サイト change.org もそのひとつだから、世界の自由市民がどんな問題意識をもち、どういうふうに社会を変えようとしているのかについてドバイ市民が公式に知ることはできない。

このようにして政府が市民を縛るのは二流国家のあかしだが、ドバイのように豊かな国がなぜそうなのか。

私見だが、ドバイの首長であるマクトゥーム家は、こうでもしなければ権力を維持できないのだろう。

マクトゥーム家は、もともと数百人規模の部族の長(おさ)だったのが、19世紀に独立を宣言して「国」になり、20世紀終盤からは中東全域のオイルマネーが流れ込むビジネスセンターとして発展してきた。

その利権の主要部分をマクトゥーム家がしっかり押さえ、飛びぬけた力を持っていることに注目すれば、ドバイという国家は国民のためではなくマクトゥーム家のためにあるといっても過言ではない。

そんな現状について国民が目覚めるようなことがあってはアカンから情報の遮断に必死・・・とわたしは見ているのだがどうだろう。

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ドバイの建設ラッシュ

そうかもしれんが豊かな暮らしができとんねんからえーやろという見方もあるだろう。

だけどタクシー運転手がこんなこと言ってたぞ。

「アラブ首長国連邦(加盟7か国)の連邦議会では、各国の利害が対立して話し合いが大モメになることが度々あるんですよ」

「そりゃそうでしょうねえ」

「ところがね、連邦政府は大モメの件をずうぇったいに表ざたにしたくない。メンツがすごく大事なだけじゃなく、連邦は一枚岩という評判にヒビが入ることを何より嫌っているから。だからね、モメた内容を外部にばらしたやつは『シュフィッ』とされちゃう」

と運転手さんは、手先で首を左右に払うような仕草を見せた。

よくて国外追放、最悪の場合は殺されることを意味しているのか。いずれにせよかなり荒っぽい話ではある。

UAEの首長たちは、自分たちが完璧な国家をひきいる完璧なリーダーであることを力強くアピールしなければ足元がアブナイことをよく知っているのだろう。

「完璧なリーダー」神話を国民が信じているうちは安泰、へたに目覚めようもんならという恐怖感がドバイ(おそらくUAE全体)のネット規制の理由だろう。

実にエグイものを見てしまった。

 

お口直しは、アルマハで見かけた母子。

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おっぱいを飲んだあと、ぴょーんぴょーんと楽しさいっぱいの足取りで丘を下りていった。

人間はコワイ、自然はいいなあと心の底から思うのである。

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