砂漠リゾート「アルマハ」には各種の体験が用意されており、出不精なわたしたちは重い腰を上げて Wild Life Drive に参加した。
クルマ1台に1グループのみ乗車だから、コロナのこともあまり気にせずに済む。
野生動物といってもアフリカのサファリのように多様なわけではなく、とりあえず目に入ってくるのはコテージでも会えるガゼルくらい。
ただし、ここで純粋な野生のガゼルを見られることには大きな意味がある。
この区域をふくむ広大な砂漠地帯が自然保護区に指定されており、動物が住みやすくなるように植樹が行われたことで、一度は数を減らした動物がもどってきたというのだ。
植樹をはじめ砂漠の管理には莫大なお金がかかる。その事業を支えてきたのが、アルマハのような高級リゾートからの上納金というわけ。
客にしてみれば、単なる贅沢にとどまらず、自然保護に貢献する達成感みたいなものが得られる仕組みになっている。
ガゼルのように人間に近づくことが滅多にない孤高の流浪者、アラビアオリックスを見かけた。
オリックスは、その長い角が特徴的で、ユニコーンのモデルともいわれているが、角を目的とした乱獲に遭い、中東地域では一度絶滅した。
60年代、わずかに残っていた野生のオリックスの飼育・繁殖が行われ、80年代からは野生へ戻されてきたが、今度は密漁のせいで生息数が伸び悩んでいるという。人間はアホだ。
アラビアオリックスの神々しいお姿を拝見したあと、ツアーガイドさんがわたしたちを奇妙な場所へ連れていった。
フェンスのなかで飼われていたのは・・・
アラビアオリックス。
孤高の流浪者じゃなかったのかよ。
ここでオリックスを繁殖し、ドバイの首長がUAEアラブ首長国連邦の仲間の国々(アブダビとかアジュマーンとか)へのプレゼントにしているんだとか。
行った先で飼われているのか自然に戻されているのかは聞かなかったが、贈れは喜ばれるんだろうな。
中国のパンダ外交のことを思い出した。
さて、リゾート内に入ってきてトーストをねだるガゼルのことだが、野生動物へのエサやりは自然への干渉だからいかんという一般的な原則からは逸脱している。
ただ、この砂漠リゾートは、自然保護区にあえて人を呼び込むことでお金を落とさせ、野生動物の保護に資する仕組みになっていることから、この地域にゴマンといるガゼルの一部が人間に接近してカワユイ広告塔になることは大局をかんがみてヨシとすべきではないかと思うのだ。
今回の Wild Life Drive では、ガイドさんの思わぬ行動に驚かされ、それが主題のつもりだったのが、自然保護のことに熱中してここまで書いてきてしまった。
続きはまた。
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