ベアラー(家政婦)のNさんには、何回かに分けてモノを差し上げている。
洋服・アクセサリー・靴・雑貨・軽家具・文房具・食品など、いろんな理由で次の任地へは持っていかないもので、Nさんやその周辺のひとたちの役に立つものを引き取っていただく。
これはどうかな・・・と思うものも含まれていたが、Nさんはまるで頓着しない様子で箱詰めしていく。普段の暮らしでは視界に入ってきにくいこの国の貧しさが見えてくる。
大荷物を抱えては帰宅できないので、運転手のPさんにNさんの自宅まで送ってもらうよう手配し、「今日はお疲れさま」と送り出そうとしたとき、Nさんが再就職の話を切り出した。
面接をした某国大使館員からは結局なしのつぶてだという。大使館員である奥さんは面接の途中に仕事で退席し、あとは南アジア系のダンナさんとの話になったのだが、どうもそのときの雰囲気がよくなかったらしい。
詳しくは聞かなかったが、おおよその想像はつく。南アジア系のひとびとは階級や所得などで下位にくる者に対して横柄であることが多く、その態度はわたしたちのようなフラットな社会に生まれ育ったものの目には非常に傲慢に映ることがある。
ダンナさんからそういう風が吹いてきたとき、ちょっと気の強いところのあるNさんはムッとした空気をかもしだしていたかもしれない。
電話がかかってこなかった理由についてNさんは「わたしのことが気に喰わなかったからかも」といっていた。
この件についてわたしはNさんの肩を一方的に持つつもりはなく、彼女自身、仕事を切望しているわりには料理の仕事に消極的でチャンスを狭めているという側面はある。
ただ今回のケースでは、仲介した当方にもなにひとつ連絡がないことをふくめ、全体として某国大使館員ご夫妻への不快感をおさえることができない。
文句をねじこんだところで結果が変わるわけではないので、こちらからつつくことはしないが、ほんとイヤな気持ちでいるよ。
「マダム、なんとかして仕事欲しいんです・・・」と目に涙をためて訴えてくるNさんに、妻はダッカを離れてからもずっと探すからと返すしかなかった。
だが妻の後任が来るのはコロナの影響で半年後になるし、そのほかどの部署も体制が縮小されており、ベアラーの就職は厳しい状況が続くだろう。
実はこの日、別のひとから打診が入り、その家庭ではすでにいるベアラーに加え、3人の子供とイヌの世話(送り迎えや散歩などと思われる)をするひとを探していた。
妻は仕事の片づけに追われて目の回るほど忙しく、この件についてNさんに連絡し、そういう仕事でもいいかと意思確認するまで4時間かかった。
ところが、急いで依頼主に折り返したところ、すでに人が見つかったとのことで、なんとも惜しいことになった。
ひとまず時間切れとなってダッカを離れるわけだが、心にトゲが刺さったままだ。
バリダラかグルシャンでベアラーを探している方がおられたら、是非ともご一報いただきたし。
Nさんは家政婦が必要とする基本的な英語が使え、仕事はたいへんシッカリしています。
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