淡水真珠を買い足すため1週間ぶりに街へ出たとき、地味にショッキングなものを見た。
バングラデシュの交通をになう3輪タクシー(燃料の圧縮天然ガスCNGの名で呼ばれている)がうじゃうじゃ走っているんだが、横に停まった一台の運転手さんが、目の前にぶらさげてあるタオルを手にひょいと手をやった。
そしてタオルを人差し指に巻き付けるやいなら、鼻の穴に盛大に突っ込んでグリグリ回し始めた。
右が済んだら左をグリグリ。
大気汚染がひどいダッカの路上でCNGころがしてたら、鼻の中が真っ黒になるのは当然。それが気になるのだろう、このドライバーはしょっちゅうこうしてタオルを使っている様子。
タオル、真っ黒。
それで運賃とお釣りの受け渡しは現金なんだから、コロナが広まりやすい条件満たされまくり。
途上国のうちでも周辺諸国に遅れをとっているバングラデシュは、コロナ対応がさぞかし大変だと思うが、当地の外国人業界では「バングラ政府による患者数・死者数の大幅な過少申告」がおおっぴらに取り沙汰されており、わたしもまあそんなもんだろうと思っている。
こんな状況下、わが家では家政婦さんの出勤を週2.5日から1日に減らすことで、互いを守れればと思っている。
運転手さんはそうもいかないところが悩みではあるが・・・
真珠屋さんに到着。
ご主人は前回留守にしていたが、店番をしていた甥っ子からわたしたちの買い物の内容を聞いていたらしく、「いやいやどうも先週は」とにこやかに迎えてくれた。
今回の目的は買い足し以外にもうひとつあって、妻がバッグから取り出したのは、糸の切れたネックレス。アメリカで買って愛用していたものだ。
「お安い御用ですよマダム」
そういってご主人はしゃかしゃかと手を動かし始めた。
強い釣り糸を通すのは簡単。だが留め金具の構造が特殊なせいで、糸との接続が難しい様子。
とはいえみずからネックレスをデザインし製作も手掛けるご主人は、素早く確実な手さばきであっという間に修理完了。
日本やアメリカでは目の前で修理してくれるなんてことはなく、受け取りのために出直すことになるから、これはありがたい。
料金がいくらになるのか興味があったが、それはお会計のときの楽しみということで、追加のネックレス選定が始まった。
ご主人によれば、コロナのせいで上客だった外国人がぐっと減り、売り上げが落ちこんでいるため、必死の値引きで売り上げの維持をはかっているという。
たとえば1万タカ → 6000タカ(1万2000円 → 7200円)。
そんなこと言われたら(イヤ安いって意味じゃなくて売り上げが苦しいんだったら!となぜか必死)なんとか余分に買ってみようかという意識がはたらく。
「でもどうしようかなー」と迷う妻に、何万円もするもんじゃなし予備があったほうが安心でしょ?これ買おうと思ったらまたバングラまで来なくちゃいけないんだよ?などとナゾの発破をかけるわたし。
めでたく何本かのお買い上げが決まり、会計タイム。
さっきの修理はおいくら?と尋ねたら、
そんなもん頂けませんよおマダム!
とご主人。
押し返すようなもんじゃないから有難く了解したが、普段からこんな感じなのか、サービス向上で苦境を乗り切ろうとしているのか。
いずれにせよ今でしょ?!淡水真珠買いにいくなら。
(コロナにはよく気をつけましょう)
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