観光地にとってプラスになるような話題ではないが、書かずにはいられない。
今回も例により民泊のメンテナンスのため高山へ。墓参りに来た高台の寺から、気持ちよく街を見渡すことができる。
ところがこの仏様の足もとでは、トンデモナイことが進行中。
城下町高山の核となっている「古い街並み」は、上三之町(かみさんのまち)という。その隣の上二之町は、三之町ほどではないにせよ、江戸から明治期の佇まいが濃厚に残されていた。
ところが今、古い建物がどんどん壊されている。門から出てくるのは、産廃を満載したトラック。
ここは以前には造り酒屋の作業場があったところだったような。それをつぶして何ができるのかというと・・・
商業施設ってなんだ?観光物産の店が軒を連ねるショッピングモール?
なにを作ってもいいけど、以前からある古い建物を絶対に壊す必要あった?
ファサード(建物の正面)だけでも残して、通りの景観を保つことはできなかった?
実はこの破壊的リノベーション、上二之町では広範囲に起きている。
さっきの現場から数十メートルのこの場所では、普通の家屋3軒ぶんの敷地がすでに更地に。
ちなみにこの更地の向かい側は、以前のままの佇まい。
この街並みがごっそり姿を消したと思ってください。小生、かなりのショックを受けました。
さっき造り酒屋といったが、最初の取り壊し現場もこの更地も、明治時代からの蔵元の所有地だった。町内の面積のざっと1/4がこの家のものだったような気がする。
ところが時代の流れとともに、不動産の所有は厳しくなるばかり、ついにことし大整理に踏み切ったようだ。どこかの大資本が土地を買い上げ、再開発することになった。
下は第三の取り壊し現場。もう何軒の古い建物が姿を消してしまうのか。
3ヶ所の敷地にどんなものが建つのか、だいだい想像がつく。「飛騨高山の伝統美を大切にした」と称して外壁に格子状の飾りをまとわせた無機質なビルになるのだろう。
かつては大旦那として富裕を誇った造り酒屋は、現在では本業がよほどうまく行っていないかぎり苦境に立つことが多く、うちの本家もそれでタイヘンなことになり、あおりを食らってわたしもタイヘンな思いをしたから、今回の大変動を同情的に見てはいるが、
「だがなあ・・・」
と溜息をついてしまうのだ。
かみさまホトケさま、どうかこの町の将来をお守りください。
みんな一所懸命やっとるのですよ。でも難しいことが多くて。
観光業の将来はともかく、昔なじみの景観が破壊されるのを見るのはつらいもんだねえ。
ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。