日本人は知能指数が下がっているのかと、真面目に心配している。
まず、以下のような問いを発する人物が存在するらしい。
新幹線で「窓側指定席」を予約したのに、「通路側」の人が「真ん中」の肘掛けを使っていました。この場合、「指定席代」を一部でも請求できるでしょうか…?
やたらに「」を使うところからしてナンダカナーって感じなのはまだよしとして、隣席の乗客にひじ掛けを使われたら指定席代を一部でも請求できるかって、こういう発想はいったいどこから出てくるのか。
この質問は、弁護士、公認会計士、税理士、ファイナンシャルプランナーの有資格者、いわゆるお金に関するプロフェッショナルが記事を執筆するという情報サイトに掲載されていた。
質問への回答は驚愕すべきものだった。
新幹線の座席は、窓側が上座というマナーがあります。そのため、2人掛け座席の場合は、窓側に座っている人が真ん中の肘掛けを使う権利を得られるでしょう。窓側に座れば、左右両方の肘掛けを使うことが可能です。
窓側が上座?
マナー?
こちとら新幹線が開通して以来 60年間乗ってきたが、そういう話は聞いたことがない。もしも窓際が「上座」であり、ひじ掛けを使う快適性が保証されているのであれば、そのぶん運賃が割高になって当然かと思われるが、そういう話も聞いたことがない。
上座・下座というマナーは、集団内部での序列を表現するためのツールだ。床の間の前に部長を据え、出入り口近くに新人社員を配置することによる身分の可視化が上座・下座の役割。だから、たまたま新幹線で隣り合わせになった赤の他人、高知県の田村さんと栃木県の磯貝さんのシートにはカミもシモもないのだよ。
しかもこの回答者は、窓側がマナーだと言った同じ口で「真ん中の肘掛けを使う権利を得られる」とのたまったいるわけだが、そもそもマナーというのは、それを理解・尊重するひとが自発的に従うことにより成立するものであり、肘掛けを使う権利を付与してくれるルールではない。
その程度のことも理解していない回答者(笑)やら講師(爆)やらが、次から次へと謎マナーを作りだし、お金に換えているのだろう。とくに世慣れていない若者がこういうのを真に受けてしまうことが多いと思われ、とても可哀想だ。そういえば民泊に泊まってくれた都会の若いサラリーマンは事あるごとに、
「到着し次第ご連絡させて頂きます」
「チェックインをさせて頂いております」
という当世流行りのさせて頂く構文でメッセージを送ってきた。当方の眼には過剰なへりくだりと映り、なにを怯えているのかと気の毒になってしまう。
ちょっとエラそうになっちゃうけど、わたしは隣席との間の肘掛けは使わない。あれは肘を置くものではなく単なる境界線だと思っているから。肘を置くのは窓側か通路側のやつだけ。境界線には肘を出さない。互いがそうすれば快適に過ごすことができる。
なお、不幸にして3人席の真ん中に座ったときは、左右どちらかが意図的に肘掛けを譲ってくれている雰囲気があるときのみ使うことがある。なんと美しい思い遣りの世界デアルコトカ。
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