キョサントーやシャカイトーが華やかなりしころ、こんな写真が新聞に載ったとしたら
「兵器などという汚らわしいものが海岸から這いのぼってくるとは言語道断!」
「軍国主義の足音が聞こえるぅ!」と大騒ぎになっただろう。
当時でも災害時には自衛隊が出動していたが、スコップかついだ隊員がトラックに乗ってやってくるだけみたいな感じで、その姿は目立たずひっそり日陰者のようだった。
時は移り、災害に有用とあらば兵器ぽさ全開の上陸用舟艇を被災地直近の砂浜から突っ込ませ、ブルドーザーやパワーショベルなど大型重機を素早く搬入するなど、自衛隊の運用は実に合理的になってきた。
一方で合理的じゃないというかなんというか、うまく当てはまる言葉が見つからないんだけど、被災者が集まる避難所の悲惨さというのはどうしたものか。与えられるのは布団だけ、仕切りもなく人目を気にしながら雑魚寝する様子は、とても先進国とは思えない。
夜は落ち着いて眠られず、昼間は人目を気にしてストレスがたまる一方。雑魚寝生活は避難者の心身を着実にむしばみ、災害関連死の大きな原因ともなっている。
日本は、地震・津波・噴火・台風など大きな災害に繰り返し見舞われ、とくに東日本大震災では大規模かつ長期にわたる避難生活のサポートのノウハウを積み重ねてきたのではなかったのか?それでもまだこれなのか?
被災直後はしょうがない。だが、5日たち1週間たってもプライバシーのない雑魚寝生活を強いられるほど日本は貧しいのか?日本人はそんなに甲斐性がないのか?
寝具、
最低限のプライバシーが保てる段ボールなどの仕切り板、
温かい食事、
水、
トイレ、
風呂、
これらをワンセットにして、全国どこへでも1~2日で届けられる態勢を国が整えるべし。仮に道路が寸断されたとしても、自衛隊機・艦船などを総動員したレスキュー作戦はそう難しいことではないはず。今すぐ計画を練り始めなさい。
そもそも今回だって、能登地震が「激甚災害」に指定されるまで10日もかかったのは信じがくトロくさい。深刻な事態であることは2~3日のうちに明らかになっていたのに、いいやいや激甚災害指定のためにはあれをちゃんと調べてから、これもじっくり確認してからと時間をかけすぎたのに違いない。
家や仕事を失った被災者は、大きなストレスのかかる避難生活のなかでどんどん悲観的な気持ちになっていく。国が「しっかり面倒を見る」と言ってくれれば少しは安心できるのに、10日も雑魚寝しながら待たされたら、それだけでも災害関連死のリスクは高まるだろう。
「被災者」は記号ではない。わたしも、あなたも、今から5分後には被災者となり、雑魚寝の体育館をうろうろすることになる可能性がある。この1億2000万人の課題に、行政の担当者はしっかり切り込んで考えていただきたい。
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