Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

ちょっと危なかった

自慢じゃないが今秋オープン予定のわが民泊の売りのひとつは(いやひとつしかないけど)お日様が燦燦と降りそそぐこと。

わたしたちはこの家が建った年に渡米した(というかこれを設計し完成させるまで渡米を遅らせた)ので、ここに住んだことはない。だが、訪れるたびなんと贅沢な家デアルコトカと感動してしまう。設計者の功績ではなく、単に立地がよいだけのことだが、晩年の10年あまりをここで過ごした母は、それなりに幸せだったはずだ。

ほんでまあこのようにして朝日まぶしいリビングルームの写真を Airbnb 用に撮ったわけだが(商売しょーばい)、思えばそれは危ないタイミングだった。上の写真、窓に落ちた葉っぱの影がすばらすぃーでしょ?春に咲き誇った藤が、夏によく茂って日陰をつくり、葉っぱあればこそ部屋の快適さがうまく表現できる写真になった。ところがそれからわずか15分後、藤の枝をばっさばさ剪定する男が現れた。

庭師さんじゃない。うちの敷地で美容院をいとなむ美容師さんのダンナさんが、ボランティアで家の手入れをしてくれている。美容師さんはかれこれ40年あまり、我が家に隣接したちーっちゃな美容室でこつこつと営業を続けてきた店子(たなこ)さんで、彼女いわく「あなたのお父さんお母さんには大きな恩がある」のだそうで、このたびわたしが民泊を開業するにあたり「よい宿にするため微力ながらお手伝いをしたい」と協力を申し出てくれたのだ。

ミスターDIYのダンナさんに外回りの手当を任せるなり、彼女は我が家の浴室に飛び込んできてお掃除を始めた。

わたしとてサイテーゲンの良識はそなえた人間であるので、このような無償の協力にただ甘えるつもりはない。開業後の宿の清掃をお願いしている会社に彼女らを紹介し、そちらから時給を支払われるかたちで業務として我が宿に関与してもらえるよう、話を進めているところ。

ご想像のとおり、彼女の美容室は顧客の高齢化とともに売り上げが減少し、今では売り上げの2/3を固定費が占めるまでになり、本業以外の収入源が大きな助けになることをこちらは承知している。

それでは美容師さんとダンナさんの現在の献身はお金目当てかといえば、まったくそうではないと思う。このひとたちは元々わが家にいろんな協力をしてくれていた。母親存命中には、それとなく動静を見守って不測の事態に備えるだけでなく、伸びすぎた藤の枝と落としたり、植木の落ち葉を拾ったり水をやったり、この十数年間わたしたち一家の面倒を見てきてくれたといっていい。

浴室を掃除しながら美容師さんは言う。こんなふうにお手伝することでお父さんお母さんの御恩に報いることができるのなら、こんな嬉しいことはない。清掃会社からもらえる給料は2時間分でしかないが、わたしらはボランティアでそれ以上の仕事をして、この家が素晴らしい宿になるようお手伝いしたいと。

いうまでもなくわたしのようなぽっと出の人間に向けた言葉ではなく、彼女が「恩を感じている」わたしの両親への思いの吐露であろう。誰がエラかったかは別として、有難い話だと思っている。老境にさしかかった美容師さんご夫妻が今後どのように関わってくれるのか予想がつかないところではあるが、今はまず、ひとに支えられることの有難さに心を温めつつ開業にこぎつけたいと思っている。

で、タイトルの「ちょっと危なかった」は、ふと思いついてリビングルームの撮影を済ませておかなかったら、あの魅力的な藤の葉の影は撮れなかった件。なにしろダンナさんは手慣れたもので、リーゼント → 丸坊主ほどきっちり刈りこみ、影なんてあっという間になくなっちゃってたから。あぶねえあぶねえ。

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