マツコさん有吉弘行さんら番組出演者から「味付けしてない里芋」とまで酷評された果物がある。ドラゴンフルーツだ。
ドラゴンフルーツは中南米や東南アジアなど暖地で栽培され、酸味は少なくさっぱりとした甘さで、果汁が豊か。ラオスではごく安く手に入り、賞味するたびしみじみとしたシアワセを感じる。
ところが、2020年に放送されたテレビ朝日「マツコ&有吉かりそめ天国2時間SP」で見掛け倒しで食べると味にがっかりする果物が話題になり、スタジオに用意されたドラゴンフルーツを食べた出演者から厳しい声が相次いだという。以下、プレジデントオンラインからの抜粋。
ドラゴンフルーツを口にした有吉さんはしばらく沈黙した後「(味の方向性を)ビシッとしろよ!」と痛烈にツッコミ。マツコさんも「なんかやっぱり……」とお気に召さない様子だった。
他の果物については「おいしい」との意見がある中、ドラゴンフルーツについてはその後も「とろろ食ってんじゃねえんだから」「(他の果物の後に食べて)余計味がしなくなった」とバッサリ。最後には「味付けしてない里芋」との感想が飛び出し、酷評の嵐だった。
ドラゴンフルーツは日本でも作られており(生産量1位の沖縄を筆頭に、鹿児島・千葉などが山地)、市場の評価はたいへん高いという。それではなぜマツコ&有吉の番組では酷評されたのか。どうやらスタジオに用意されたドラゴンフルーツは輸入品だったらしい。ふたたびプレジデントオンラインから。
(ドラゴンフルーツは)ここ数年で関東のスーパーにも並ぶようになったが、それらの多くはベトナムなど東南アジアからの輸入品だ。
店頭に並ぶまでのタイムラグを考慮し、未熟なまま収穫するため、味が薄くなりがちで、輸送に時間がかかって味が悪くなりやすい。筆者もかつてベトナム産のドラゴンフルーツを食べたことがあるが、国産のものと比べると明らかに果肉の水分量が少なく、おいしくはなかった。
「ドラゴンフルーツは木になった状態でしか完熟しません。輸入品は、完熟しないものを早くに収穫して持ってきているので、おいしくないのは当然」
と唇を尖らせたのは、沖縄で「ドラゴンフルーツ名人」の異名をとる農家で、琉球紅龍果(ドラゴンフルーツ)研究会の代表をつとめる上間充信さん。上間さんは、ドラゴンフルーツが沖縄農業の新たなスターになることを夢見ているだけに、この「味付けしてない里芋」事件には打ちのめされる思いだったろう。
そんなこととは露知らずラオスへ来たわたしたちの冷蔵庫には、ドラゴンフルーツが常備されている。
冒頭で述べたように甘さ控えめで酸味少なく、果汁たっぷり。マンゴーもいいけど味の濃さゆえ毎日食べるようなもんじゃないが、ドラゴンフルーツはなんぼ食っても平気。
美味しいだけじゃなく、
カリウム
マグネシウム
葉酸
ビタミンC
ベタシアニン(レッドピタヤ)
スーパーフードと呼ばれるほど栄養豊富だという。手近にあったら食べない手はない。
ところが面白いことに、ラオス人の反応はちょっと違う。アメリカ人とラオス人が集まるホームパーティーで供されたフツール盛り合わせで、最後まで残っていたのがドラゴンフルーツ。こんな美味いもん食わんのけええ?!と驚いたのだが、ラオスのひとが言うには、どこの家の庭にもドラゴンフルーツの樹の1本や2本はあり、普段から食べまくっているから、パーティーまで来てわざわざ手を出すようなもんじゃないという。なんとまあ贅沢な!
それにしても日本ではまだ生産規模の小さいドラゴンフルーツにとって、全国放送でけちょんけちょんに言われたダメージは計り知れないものだったろう。スタジオに持ち込まれたのが輸入品だったとして、その弱点を知らされずに試食したマツコさん有吉さんに罪はないのかもしれないが、「味付けしてない里芋」はあまりにもきつかった。この一件、メディアが暴力になる例として心得ておきたい。
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