Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

撃たれていたはずのダンナさん

妻の役所に勤めるひとが、ワシントンDCから新しい任地に転勤しようとしていた。住んでいたアパートから家財道具を送り出した夜、身の回り品を詰め込んだスーツケースをたずさえてホテルに移動するところだった。

アパートの前に停めたクルマにスーツケースをいくつか乗せ、次の荷物をダンナさんが取りに戻るあいだ、奥さんは荷台に腰かけて待っていた。とつぜん通行人から「誰かがクルマに乗ったよ!」という声がかかり、ちょうどそこへ戻ってきたダンナさんが全力で駆け出すのとクルマが乱暴に発車するのと奥さんが荷台から飛び降りるのが同時だった。クルマはそのまま夜の街に消えてしまった。

事件後に奥さんが得た教訓は、命に見合うほどのモノはないということ。あのとき全力で駆け出した夫は、「自分はクルマ泥棒を撃退するつもりだったと思う」と告白したが、警察のウェブサイトで検索したところ、前の週にDCで発生した7件のカージャックのすべてで銃器が使われていたことが判明。彼が反撃すれば撃たれた可能性が極めて高かったといわざるをえない。

ところでこのカージャック事件が起きたのはネイビーヤードという再開発区域で、豪華なジムやプールを備えたピカピカのマンションが立ち並び、住民の安全を守るための監視カメラも多い。そのうえ当夜はスタジアムで地元ナショナルズの試合が行われており、ぜんたいに人出が多いなかでの犯行だった。奥様が得た第二の教訓は、「平穏は敵」であること。いい地域に住んでいれば大丈夫、カメラや警察がいるから大丈夫と思うのは悲しい間違いでしかないのだと。

写真は別の事件

ちなみに奪われたクルマは、直後に何件かの無差別路上強盗に使われたが、最後の現場では犯人が被害者から逆襲をくらい、殺されてしまったという。おそらく被害者も銃器を持っていたのだろう。完全な無法地帯。

このストーリーがSNSで共有されると、ワシントンDCの犯罪が右肩あがりに増えていること、市内には安心できる区域などどこにもないといった声が次々とあがるなか、こんな意見も書き込まれた。

「わたしたちイラクとかスーダンとか危ない地域に行くたび危険手当を支給されるけど、DC赴任者にも手当をつけてくれなきゃ実態に合わないんじゃ・・・」

世界にはヤバイ地域がたくさんあるが、銃がらみの危険度が高いのはアメリカだけ。銃器の乱用は予測も回避も困難で、たちが悪い。そんな国を離れて銃器ナニソレ?なところへ来られたことにとりあえず感謝している。

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