リアルIDなるものを取得するため陸運事務所へ行ってきた。アメリカでは今、運転免許証からリアルIDへの切り替えが進んでいる。バージニア州の場合、リアルIDのデザインは運転免許証とほぼ同じで、違いは右上に★マークがあること。
2025年からは、これがないと政府や軍の施設に入場できなくなるので、わたしにとっては必要。そんなとこに足を踏み入れることはないというひとでも、国内旅行で飛行機に乗る場合、リアルIDなしでは保安検査場を突破できない。
ご想像のとおりリアルIDは、テロなどの犯罪行為を防止する目的でつくられた。発行時の本人確認のため出生証明書、パスポート、社会保障カードなどのほか、現住所を証明する書類2通を提出する必要がある(運転免許はもっと簡単)。
ちなみにリアルIDは、陸運局の運転免許証発行システムに丸ごと乗っかっていることから、新しい証明書の発行がスムーズに行われているように見える。日本では、マイナンバーカードを発行している市町村の役場が証明書の発行に慣れていないことが、トラブル多発の一因?とはいえマイナカードは健康保険証と紐づけられているので、アメリカの真似をしようと思ってもそうはいかないが。
バージニアに話をもどすと、Bad experience の産地として知られる陸運局において、わたしはまたひとつの記憶遺産を生み出すこととなった。窓口の女性はアジア訛がとても強く、聞き取れない単語を何度か繰り返してもらう必要があり、おそらくそのせいで彼女はどんどん機嫌をそこねていた。なんとか手続きの終盤まで来たところで、彼女はこう言った。
「フーフアドレスを出してください」
「えっ・・・?」
「フーフアドレス!」
「あっすいません、なんとおっしゃいました?」
「フーフアドレス!!」
「ごめんなさい?」
「フーフアドレス!!!」
彼女は訛りが強いだけでなく、発声に問題があるらしく、外国人のわたしにとってかなりハードルが高い。
「えええっと(なんとお願いすればいいのか)・・・」
となったところで彼女はマスクをかなぐり捨て、目玉をまん丸に見開きながら
「フーウウウフ、アドレス!!!」
と唾を飛ばした。ガラスの仕切りがあってよかった。次の瞬間彼女は1枚の書類を私に突きつけ、Proof とか Address とか書いてあるあたりを指でつんつんしてきた。
あ、現住所の証明書ね。フーフが Proof に聞こえなかったわたしが悪かった。でもね、相手の言葉が聞き取れないとき、ひたすら声量を上げて押しまくられても問題解決にならないのだよ。そういう想像力のないひとって、疲労の原因になりがち。
ともあれリアルIDの申請を無事に済ませ、手数料30ドルを支払い、後日リアルIDが郵送されてくるのを待つばかりなんだけど、あれれ、運転免許証に「無効」のパンチ穴を開けられちゃったよぅ。
安心してください、ちゃんと「臨時運転許可証」の紙をもらっているので運転できますよー。
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