日本人がこう思っているうちは貧乏なままだと思った瞬間。
NHKだったかの諸物価値上がりのリポートで、材料費の高騰に耐えかねた食品メーカーオリエンタルが商品の値上げの理由をスーパーマーケットに説明するシーン。オリエンタルの営業担当はこう言った。
「それに加えていやらしい話なんですけど、弊社でも賃上げをするような流れになっておりまして・・・」
そうだね、日本ではお金の話は汚い。収入の話はいやらしい。企業はそういう精神風土の上にあぐらをかいて人件費を押さえ込んできたし、いま政府が賃上げを要請する事態におよんですら、その話題は「いやらしい」ものなのである。オリエンタル社員のひとことは、客への遠慮からつい出てしまったものだとは思うが、こういう発想でいるかぎり日本人は貧しさから抜け出せないだろう。
もうひとつ、日本人を貧乏にしているのは値上げを極端に嫌う商習慣。最近の物価高リポートに登場する経営者が口をそろえて「値上げはできないんです」と語るのは、それが法律で禁止されているからではなく、小売店が嫌がるから。もしくは消費者が嫌がるからやめてくれと小売店が言うから。
じっさい日本には「値上げに腹を立てて買わなくなった」という消費者が多いように見える。企業努力ではコスト増を吸収しきれず、やむにやまれず価格転嫁したことを知っていても許せないのだ。お客様は神様だとでも思っているのだろうか。
企業はこうした声を恐れることなく、「要らねえんなら買うなよ」ぐらいの気持ちで値上げをすればいいのだが、実態はその逆で、わが社だけが値上げしたら客が雪崩を打って競合他社に流れるという恐怖におののき、業界あげてのチキンレースを演じている。「お客様を大切に」という美辞麗句をかかげた貧乏競争である。
企業経営者は「値上げはできない」という心のブレーキを外し、必要な値上げをすべし。そうすれば、原価が上がったら価格も上がるという国際的な常識が日本にも行き渡る。物価は上がるが、それに応じて国民の所得も上がるから貧困化は進まない。
所得増は少し遅れてくるので痛みがゼロというわけではない。しかしアベノミクスが約束したトリクルダウンがほぼ完全な失敗に終わったのと比べれば、かなり望みが持てる。
「賃上げはいやらしい話」という態度に別れを告げ、労働の対価を堂々と取りにいこうじゃありませんか。社員の皆さんも、フリーランスの皆さんも。
と自分に強く言ってみる今日このごろ。
ペニーさんはすごく元気。だけど体重がちょっと増えすぎちゃった。夏の引越しで飛行機に乗るとき、機内に同伴できる重さをかなり超えている。肥満するほど食べさせてはいないつもりなんだけど、もしかしてまだ成長中?どうしたもんかね。
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