Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

鈍感記念日

自分がとくに鈍感な人間とは思ってなかった(ソコソコ鈍感という自覚はある)が、職場の誰もが知っている男女関係についてわたしだけがまったく無知という事態に驚いたことがある。

それはわたしが某県の放送局に勤務していたときのこと。職場の既婚女性と独身男性がフリンの仲になっていた。女性のご夫君A氏はフリーランスで働いており、わたしたちの職場の忘年会に顔を出したことがある。美人のほまれ高い細君にお似合いのイケメンでないことは少し意外だったが、

(世の中えてしてそんなもん・・・)

と軽く思ったくらいで、せっかく参加してくれたA氏を歓待するつもりだった。当時のわたしは兵隊をまとめる下士官のような立場で、宴会の盛り上げも仕事のうちだった。

ところがA氏、なぜか機嫌が悪い。むすっとしていたかと思えば片頬で笑いながら辛辣な発言で周囲の若いモンをやりこめるといったハードパンチャーぶり。わたしの横にいた後輩が白けた顔で「なんか嫌なやつっすねえ」と耳打ちしてくるほどだった。そうはいっても、あれだけの美人がより取り見取りの中から選んだ相手なんだから、なにかすごい魅力があるんだろうというのが、A氏へのわたしの目線だった。

そんなA氏夫妻が「とっくにオワッテル」という噂が職場に広がったのは、忘年会から数ヶ月後のことだったらしい。細君と同僚男性の親密な場が目撃され、不倫関係確定!との囁きが職場を駆けめぐったわけだが、なぜかわたしの耳には入らなかった。普段からその種の話題に目を輝かさないタイプだからパスされるのか。それとも職場不倫はいかん!といって懲罰に走るような堅物と誤解されていたのか。

この「たったひとり知らないやつがいる(笑)」現象が職場に知れ渡ったのは、翌年の忘年会がきっかけだった。そのときのわたしは何故か美人細君と親しく懇談する時間があり、もっと美人な嫁はんが家で待っているにもかかわらず少しドキドキしながらお相手をしていたのだが、彼女の話題はもっぱら夫君A氏のことだった。自分が仕事で遅くなったとき〇〇を作って待っていてくれたとか、〇〇で喜ぶ姿がすごくかわいいとかいう類のノロケ話が延々と続く。

他人から見ればA氏は性格に難ありかもしれんが、あそこまで妻に愛されとるんやったらめでたいことや。

忘年会からしばらくして部下との雑談でそんな発言をしたら、爆笑された。そんなノロケを真に受けたんですかぁ~、どんなつもりで話したのかわかりませんけど、彼女は去年からずうーっと不倫してるってこと、まさかご存じありませんでしたぁ?!と目を丸くされたから鈍感記念日。

ここまで書いてきて思い当たったのは、彼女が熱心にノロケ話をしたのは、当時わたしが管理職になっており、彼女の直属上司ではないが、その処遇について影響力をもつ立場だったからかもしれない。「わたしのプライベートについて不穏な噂が耳に入ったかもしれませんが、それはまったくのデマです。なぜなら・・・」という必死のメッセージだったのかもしれない。そんなことまったく必要なかったのにね。

忘年会のあと離島から大晦日の中継番組

蛇足ながら件の職場カップルは結婚するに至り、彼女は土地のひとだったが夫の転勤先である東京へ越していったと聞く。新しいご夫君は見た目のよさに加えて職務能力が高く、なにより性格のよい男だから、ふたりして幸せに暮らしてほしいと思っている。

なお、人間関係についてのわたしの鈍感さは今でも変わっていないと思う。それが武器となることも弱点となることも理解はしているつもり。

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