自分がどれだけ無知で迂闊な人間かがよくわかった。今回の一時帰国の主な目的は民泊の開業準備なんだけど、とんでもないドジを踏むとこだったんだよね。
実は(法律的な区分としての)民泊には年間の営業日数180日という制限があって、どんなに人気の宿で希望者が殺到してもそれ以上泊めることができない。ホテルや旅館など既存業界の売上を守るためのルール。
このほか民泊には、営業の許可申請にも開業後にも面倒な点がけっこう多く、ビジネスとしてはそんなに甘くないという感じがしていたわけだが、無住になった実家を維持するためにはこれしかないと思って頑張るつもりだった。
ところがところが・・・
このたび面談させてもらった民泊経営のセンパイの口から出てきたのは意外な言葉だった。
「営業180日縛り」の民泊なんかで開業したらあきまへんでぇ〜、365日まるまる営業できる簡易宿所が正解だす。
簡易宿所というのはホテル・旅館などを管轄する旅館業法が定める施設うち下位に位置するものだが、民泊と比べれば開業のハードルの高さは比べものにならないと考え、検討対象にすらしていなかった。
ところが近年、旅館業法の改正により簡易宿所をめぐるルールが大幅に緩和され、しかるべき条件を備えた建物であれば、経験のない個人であっても容易に開業できるようになったばかりではなく、実はけっこう面倒くさいところのある民泊よりも運営が楽で、しかも365日まるまる営業という巨大なメリットを享受できるのだという。
そんなこととはつゆ知らず、シロウトが開業できるのは民泊のみと思い込み、開業手続きについてネットで調べまくってきたわたしは、民泊のセンパイ(実は簡易宿所の経営者)のひとことにより救われた。そうですもちろん簡易宿所めざすことにしました。
実はこの面談の前日、役所へ行って民泊の開業手続きについて詳しい相談をしてきたのだが、開業運営が楽で利益も大きい簡易宿所の話など先方からまったく出なかったのは、最初にわたしが「民泊やります」と宣言したからであり、役人の立場からすればソンナ馬鹿バカシイコトハオヤメナサイ簡易宿所ガオススメデスなどとコンサルまがいの入れ知恵をするわけもなく。
このようにして重大ミスの瀬戸際で救われたわがプロジェクトについて、センパイはめっちゃ楽観的なこと言ってたぞ。コロナ以前のはなしだが、センパイの物件は年間を通りてほぼ埋まっていたんだと。まじかよ。
国内外からの観光客が古い街並みを堪能するわりと有名な観光地だから理解できなくもないが、毎日埋まるなんてそんなおいしい話・・・と眉にツバをつける臆病者。だがセンパイは、お宅のように立地がよく、それでいて静かな環境の物件は滅多になく、そこのところをうまくアピールできれば顧客はどんどん来てくれると太鼓判。立地と環境のよさはおっしゃるとおりだが、バエる古民家でもないごく普通の物件がそんなに受けるもんかいなと眉ツバ増し増しでべっとべとになる執拗な性格のわたし。
なんにせよやってみなければわからない未体験ゾーンだから、過剰な期待はせず、ぽつぽつと地道にやってみようと思っている。いつ開業かって?海外にいながらできることは限られているので、早くて年明けかなー。インバウンドはおろか、国内の観光客でさえ出足の鈍さが続いていくだろうし、慌てて「取りに行く」こともないわなと。
なお、目指すのは法律上の区分でいう簡易宿所であり、民泊ではないのだが、個人経営のお宿としては「民泊」という語感がしっくりくるので、ここではそのように呼ぶことにする。
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