Pennyと地球あっちこっち

日米カップルの国際転勤生活 ~ ただいまラオス

日本でガッカリ

ほぼ満席の全日空のボーイング787型機は、ダレス国際空港を定刻に飛び立った。

NH1というこの便の日本人客はごく少数で、乗客の9割を占めているのはベトナム系アメリカ人。そのうち、稀に日本へ行くひともいるだろうが、基本的には成田経由でベトナムを目指す乗り替え客だ。

つまり、日本行きの飛行機は満員御礼だが、日本に入国する外国人は10人いるかいないか。コロナ鎖国に明け暮れているうちに、日本を避ける人の流れが出来上がってしまったことを痛感させられる。

少々暗い気分になったところ、経営危機にあったANAが渾身の努力で供給してきた機内食が心を温めてくれる(ソーメンは伸びすぎてアレだったけど)。

ベトナム系アメリカ人といっても、大半は訛りの強い英語を話し、移民一世かと思われた。故国とのつながりが強いからだろう、親戚知人向けのお土産を詰め込んだのにちがいない段ボール箱を山ほど抱えて乗りこんできた。

機上での彼らは、興奮してぺちゃくちゃ喋りまくる女性軍、機内アナウンスでマスク着用を繰り返し要求されてもアゴマスク・鼻出しマスクのひと、映画を見てけたたましく笑い続けるおばちゃんなどに代表される南国ムード。うるさいのはやり過ごすとしても、マスクしてくれない周囲のひとたちには閉口させられた。

そんな感じでなんとか成田に着いたところで、がっかりな光景を目撃した。

機械がパスポートを読み取る自動化ゲートを通過したところにカウンターがひとつあり、入国スタンプの希望者に対応していた。帰国日を証明する必要があるひと、免税店で買い物するひとなんかのためで、数百万円の買い物を予定している拙者もスタンプを押してもらったわけだが、次に来た70歳前後の日本人女性がすごかった。

スタンプ押して!

怒ったような口調でパスポートを投げ出す。カウンターの若い女性職員は一瞬びくっとしたようにも見えたが、落ち着いた様子を崩さずサクッと捺印。こういうひとに慣れているのかもしれない。

返されたパスポートを「ありがとう」も言わずひったくった姐さんが、ぐるりと回ってエスカレーターで下っていくのをついつい見送ってしまったのは、彼女のピリピリイライラとした表情のせいだったと思う。眉根に皺を寄せ、口角は下がり、ずいぶん昔に笑うことを忘れてしまったひとのようだった。

怒りを溜め込み、とくに若いひとたちに当たってくる高齢者は日本の名物だが、入国と同時にこういうのを見せられるとゲンナリ感もひとしお。これがわたしの誇る祖国ですとはとても言えないことが悲しい。

そしてもうひとつ、ペニーを置いてきたことが心をチクチクと刺してくるんだけど、彼女が今どうしているのか、近況報告はまたあらためて。

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