日本で韓国車なんていっても鼻で笑われるだけだと思うが、世界では実によく売れている。
しかも時代の先端をいく商品が人気を博しており、そこに韓国の強さを見たような気がする。
そうした現場を目撃したのは去年9月、ドイツの港にクルマを受け取りに行ったときだった。
ブレマーハーフェン港の一画にあるディーラーを訪ねたところ、そこにはまったく予想外の風景があった。
この日に引き渡される十数台のうち半数近くが韓国車だったのだ。
韓国車 9台(すべてヒュンダイ)
日本車 5台
独 車 2台
アメ車 3台
韓国車なんて日本じゃ見ないよね。20年ほど前にヒュンダイが進出したが、デザインも品質もいまひとつで、鳴かず飛ばずのまま撤退していった。
ところがその後、韓国車は世界でじゃんじゃん売れるようになり、北米マーケットでは日本車のシェアを奪い取る存在に。韓国車、ほんとにたくさん走ってるからなあ。
ただしヨーロッパではそれほどでもなく、まだまだこれから。それなのに今回港で目撃した「韓国車だらけ」現象とはいったいどーゆーこと?
実はこのディーラー、ヨーロッパ駐在のアメリカ人(主に軍人)のため、クルマをアメリカから輸入している。それらの車体はアメリカの普通のディーラーで売られているものと同じで、アメリカの保安基準に適合しているので、駐在先から帰国するときの輸入手続きが簡単で安上がりという利点がある。
そんなわけでこの車庫の風景は米国クルマ市場の縮図ともいえるわけだが、それにしてもヒュンダイが多すぎ。いったいなぜか。
ヒントは、9台のヒュンダイ車のうち3台が電気自動車だったこと。
IONIQ 5(アイオニック・ファイブ)というこのクルマは、まだ発売されたばかりにもかかわらず、飛ぶように売れていた。
ライバルと目される日産アリアと比べて IONIC 5 は電費がよく、充電時間は半分程度というEVとしては大きなアドバンテージを有している。
また室内の広さはおそらくクラス最大。運転席まわりの足元をすっきりさせることで伸びやかな空間を実現するなど、居住性・快適性を追求している。
今年、IONIC 5 はドイツとイギリスの「カーオブザイヤー」を受賞し、ヨーロッパ市場で大きな注目を浴びている。つまり日本人の知らないところで韓国の最先端技術を詰め込んだクルマが認められ、おおいに売れようとしているということ。
ちなみにヒュンダイは今年日本に再上陸し、電気自動車と燃料電池車を売るらしい。
日本語のブランド名を「ヒョンデ」に改めての再出発は、以前の失敗でついたネガティブイメージを払拭するためだと思われるが、はたして日本人はどう反応するか。
このところの両国の仲の悪さはもちろん、新技術のクルマだからこそ日本車の先を行かせるわけにはいかん!という気持ちがはたらくかもしれない。
この日わたしたちは世界最大メーカーであるトヨタの、アホほど売れてる人気モデルの、100%ガソリンカーという時代遅れ?なクルマを受け取ったわけで、なんだかつまらねえ人生だなという気がしなくもない。途上国に持って行くかもしれないクルマだからしょうがないんだけどね。
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