ひっじょおおおに興味深い記事だった。
イギリスの大手新聞ガーディアンが伝えたところでは、ネット上の反コロナワクチン活動が最近になって急に鳴りを潜めたという。
アメリカの疫学者で医師のデビッド・フィスマンは、新型コロナの感染防止策やワクチンの重要性について社会に訴えてきた。だがツイッターなどで情報発信するたび、
「コロナはただの風邪」
「ワクチンは有害でしかない」
「こいつは嘘つきだ」
といった偽科学情報や誹謗中傷の嵐に見舞われてきた。書き込みの内容や量からして、人手によるものではなく、ボットと呼ばれる自動発言システムによるものに違いない。
ところがこうした攻撃が、先月末にぱたりと止んだ。
ボットは一斉に休暇に入ったのか・・・
という状況をガーディアン紙は 'Bot holiday' という造語で表したわけだが、いったいなぜこうなった?
その理由を考えるうえで有力な材料となるのは、2月24日に始まったウクライナ侵攻。その直後からロシアの行為を正当化するウソ情報が急増した。
反ウクライナ、反NATO、反米デマの氾濫。これらはロシアのボットによるものだ。ロシアにとって伸(の)るか反るかの侵攻作戦を全力支援するため、ボットが総動員されたのだった。
と、ここまでくると反コロナのボットがどこのものだったか想像つくよね。ロシアと見て間違いないと思う。
ロシアはなぜ反コロナ活動に熱心だったのか?
わたしが思うに、世界のコロナ対応を混乱させることで社会不安が増大し、各国政府への信頼が揺らいだときこそが、プーチンにとって付け入る隙だ。ロシアがどれだけ好き勝手な振る舞いをしても放っておいてくれるだろうから。
プーチンの国際社会へのあなどりが深まったのは、クリミア半島を武力で脅して併合してもさほどの逆風が吹かなかった2014年頃のことだろう。
2016年、イギリスではEU離脱をめぐる国民投票、アメリカでは大統領選が行われ、いずれも僅差で終わった。最近のある研究は、ロシアのボットが拡散した偽情報のせいでEU離脱とトランプの得票数が3%伸びたと推測している。これがなければ投票結果は逆だった。プーチンの陰謀あってこそのブレグジット、トランプ大統領誕生であった。
情報操作により地球規模の不安定要素を生み出すことに成功し、万能感に酔いしれたプーチンは、ウクライナなど誰にも邪魔されずひと飲みにしてやると侵攻を思い立ったにちがいない。本人に聞いてみなきゃなんとも言えないけど。
現在「プーチンボット」がいくつ稼働しているのか知らないが、ウクライナ保安庁によれば、ロシアのボット運営企業は、ワッツアップなどのSNSにすでに7000のアカウントを作成して発信源にしている。
そして、ボットひとつあたり一日に数百回といわれるツイートでデマ拡散に励んでいるはず。
嘘つきどもの声が史上最大のボリュームで世界に響き渡っている。
ちなみに反コロナのデマを信じた層と、反ウクライナ・デマを信じた層はたいへんよく重なっているのだとか。陰謀論の固定客ですね。
ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。