アントワープは街なかのホテルでは駐車場代が目の玉をひんむくほど高いことなどの事情により、郊外へ出た。
Hotel Kasteel Solhof を直訳するとソルホフ城ホテルだが、建物を見るかぎり貴族の館というたたずまい。
オリジナルの建物が失われたあと1980年代に再建され、25の客室をそなえた閑静なホテルに生まれ変わった。
わたしたちが泊まった3階の中央の部屋からの景色。
閑静な住宅街の突き当りに位置するだけあって、ほんとに静か。
室内インテリアはかなり簡素で、あまり絵にならないので省略(ホテルサイト)。
朝食会場は裏庭から光が入って気持ちよし・・・
と思っていたら、それは裏庭なんてもんじゃなかった。
「ずーっと先までありますよ」というホテルのひとの声に背中を押されて、散歩に出た。
ここから先は公共の公園だというのだが、おそらく領主さまの時代には私有地だったろう。
庭園にずんずん分け入る。
オゾンを胸いっぱいに吸い込む感じが気持ちいい。
するとそこに恐竜の脚がどどおーん!
と思ったら(思わなかったが)立派な木がたくさん立っているではないか。
たとえば下のごつい幹はヨーロッパブナで、広葉樹の成長の遅さと寒冷な気候から考えると、この太さになるのに500~600年かかっているかもしれない。
だとすればこれらの木は中世末期、ここに館を造営した領主によって植えられ、それから幾星霜、館の盛衰を眺めながら生き抜いてきたなーんていうストーリーを想像することもできる。
ふと足元を見下ろせば、ぜったい食べちゃいかんキノコをはじめ多種多様な植物相を見ることができ、なかにはリアルクリスマスなあの葉っぱがじゃかすか生えていたりする。
ああヨーロッパにおるんやなあという感慨ひとしおである。
お館の背後の公園はぐるりと川に囲まれており、それは防御のためのお堀だったものにちがいない。
いまは何十羽かの水鳥が遊ぶだけの平和な風景。ペニーには獲物にしか見えなかったようだが。
もしかしたらわたしたちは、ここを訪れるのに最高の季節を選んだかもしれない。
春も夏も美しいにちがいないが、秋の贅沢さといったら・・・
そんなわけでお館ホテル、そういう時間があるのなら数日を過ごしてみたくなるような魅力を備えていた。
ついでに別館のレストランはかなりの人気のようで、夕食で利用するときは要予約、週末だととっくに埋まっているかもしれない。わたしたちはそうだった。
夜の駐車場は高級車ずらーり。ホテルを取り囲む高級住宅街をはじめとする富裕層に愛されているのかもしれない。場違いなわたしたちは入れなくてよかったかも。
いろんな意味で日常性から切り離されるソルホフ城ホテル、アントワープ方面での休日をご検討のあなたにぴったりかもしれません。以上、突撃リポーターのペニーがお送りしました。
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