ある火曜日のこと。
妻の誕生日に花を買おうとしたら、えらい具合わるいことになった。
いそいそと最寄りの花屋まで出かけたら、なんと閉まっているじゃないか。
そのときはまだ「火曜じゃん。臨時休業じゃん?」としか思っていなかったわたしは、グーグルマップで別の花屋を探し出し、そちらに向かった。
ふだん買い物しているスーパーに花束があることは知っていたが、お手軽ふうのものばかりなので、なんとか花屋でという思いがあった。
しかし次の花屋も閉まっていた。
もしかして火曜はどこも定休?
途方に暮れかけたところで閉まっていた花屋のドアが開き、天使が出てきた。
さっそく話しかけてみる。
ミセ、ヤスミカ?オレ、ツマノ、タンジョウビ、ハナ、カイタイ。
わたしはたいへん流暢な(つもりの)英語で話しかけたが、ブリュッセルにしては珍しく英語がほとんど通じない天使の耳にはこんな感じに聞こえただろう。
それでも相談ごとの骨子を理解した様子の天使は、いったん鍵をかけたドアを開け、わたしを招じ入れてくれた。
うわ助かりー!
でも、いくつかあった鉢植えの花にはストライクのやつがなかったので、切り花に目をやる。
妻の好きな花が4色そろっていたので、それを花束にしてもらう。
作業しながら天使が口を開いた。
「花屋は月曜と火曜が定休日なんだよ」
わずかな英単語をフランス語に散りばめながらの説明だったが、どうやらこういうことらしい。書き入れ時の週末にしっかり稼いで、週明けに休むのだろう。
この日の天使は店に用事があって立ち寄っただけらしく、わたしはかなり幸運だった。
赤、ピンク、紫、黄色のバラを妻は喜んでくれた。
天使のピックアップのしかたが大雑把で、花のうちいくつかはすでにくたびれていて先が長くないかもしれないが、今回はこれで上出来としておこう。
ちょっとだけ手間をかけた夕食のあと、ブリュッセルでは初の手作りチーズケーキを楽しむ。
うんめ~。
勝負どころで花を買うときは月曜火曜を避ける。
この教訓をアタマに叩き込み、明日からも前向きに生きていこう。
この晩はペニーにとっても充実のひとときとなった。
花束は16本のバラにカードをつけて20ユーロ(2600円)でありました。
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