去年、アメリカのアマゾンでナイフを買った。
日本製、しかも刃物の名産地として知られる関(岐阜県)のメーカーだというので期待してポチしたところが大はずれ。
この刃渡り10センチのフルーツナイフ、切れ味が悪いというレベルではなく、劇用の模造品かと思うほど切れなかった。
イチゴだったらなんとか切れるが、キウイの皮には刃が立たず、先端をぶすっと刺せば刃は入るが、きれいに切ることはできない。スモークサーモン程度のものですら、しつこくグリグリしないと切断できない。
仕方がないので研いでみた。基礎をボーイスカウトで学び、親父から彫刻刀や鉈(なた)の研ぎ方を教わったから多少の心得はあるけれど、このナイフ、3種類の砥石を取り換えながら励んでも、いっこうに刃が出てこない。
こうなるとナイフの加工の問題ではなく、そもそも材料の鋼(はがね)が刃物に適していないというジゴク絵図すら頭に浮かんでくる。
いまどき中国製ですらもっと切れるだろう。
品物に銘記されたメーカーをググったところ、関市のサンクラフトという会社が浮上し、ロゴマークも一致。
サンクラフトは、さまざまな台所用品を販売し、「料理はもっと楽しくなる」をキャッチフレーズとしている。
今回のわたしの体験はそれに該当しなかったので、ナイフは捨てていくことに決めた。不用品だったら寄付できるが不良品ではどうにもならない。
ゴミ箱に放り込もうとしたとき、天から「待った」の声が降ってきた。
・・・このナイフ、某国の悪徳業者がブランドを騙(かた)ったニセモノという可能性も捨てきれない。だとすればブランドを詐称されたサンクラフトは断固たる措置をとるべきだろう。幸いにしてというか、販売者(アマゾン)がはっきりしているから、売り手の特定は難しくないかもしれない。
そんな気持ちになってナイフの写真を撮り、サンクラフトのサイトから問い合わせを入れてみた。
アメリカで買ったこと、不思議なほど切れないことを説明し、クレームつけて何かを得ようという意図ではなく、「御社の品質管理に生かされる」情報となることを願っていると伝えた。
来週あたり、なんらかの反応があるんじゃないか。
繰り返すが、わたしの意図はこの会社を叩くところにはない。
海外にいて日本企業のがんばりを尊敬し、愛しく思う立場からの問題テーキとかいっちゃったらエラそすぎてあれだけど。
ブログのランキングというのがあって、これをポチしていただくとたいへん励みになります。