夜10時すぎ、そこらを遊びまわっていたペニーが何かをぺろりと口に入れた。
それがわたしにはブドウに見えた。
ブドウはイヌの肝臓を破壊するリスクがあり、絶対に与えてはいけないもののひとつ。
うちでは冷蔵庫からブドウを出すたび、「ペニーの毒やで~」と冗談まじりに警戒を発していた。
なにかの拍子に床に落ちたのかもしれない。ペニーがいたのはブドウが転がっていくとは思えない場所だったが、怪しい瞬間を見てしまったからにはただちに動くしかない。
とにかく吐き出させようと喉に指を差し込んでみたが、苦しがって猛烈な力で噛んでくる。怪我や感染症を恐れて断念。ペニー、ほんとにごめん。
深夜に開いているペットクリニックを探す(以下すべて妻の活躍)。
1軒目、2軒目、開いてはいるが緊急手術などで獣医師の手がふさがっており、診察してもらえるまで時間がかかるという。
食い下がって紹介してもらった3軒目にも振られたあとの4軒目、すぐにいらっしゃいと言われて出発するが、間の悪いことにこの晩は珍しくワインを飲んでおり運転できない。幸いウーバーが数分で来てくれた。
ポトマック川を渡ってワシントンDCに入り、どんどん北上する道のりが長く感じられてしかたない。
20分ほどでクリニックに到着。コロナゆえ飼い主は外で待機。
ペニーの処置はとにかく吐き出させるというが、いったいどういうふうにしているのだろう。獣医だから苦痛の少ない方法でうまくやってくれるのか。ペニーに申し訳ない気持ちで胃が痛みだす。
1時間半がたち、当方も寒さでかなりヤバくなってきたころ、ようやく診療が終わった。
胃の内容物にブドウらしきものは見られなかったという。100%嘔吐させることは難しいのでなんといえないが、わたしの誤認だった可能性が少し高まる。そうであってくれ。
ブドウだったしてもできることはないので、ひとまず血液検査をして、2~3日後に再度検査した結果と突き合わせて問題が出ているからどうかを調べることに。
なお、わんこは個体によりブドウの害が出る子とそうでない子がいるという。
診療室から解放されて大喜びのペニーと帰宅したのは午前1時すぎ。
嘔吐による脱水症状をふせぐため生理食塩水が皮下注射され、左脇が異様に膨らんでいるが、ペニーはいたって元気にトイレを済ませ、ご就寝。
次回の血液検査までに出来ることは特になく、普段どおりに過ごしながら、元気や食欲などに変化がないかどうかを観察せよとのこと。
一晩明けて、ペニーに変化は見られない。
1号2号は怯えながら見守っている。
あれがブドウではなかったこと、たとえブドウだったとしてもペニーに耐性があることを祈るしかない。
なにかあったら自分を許せないと思う。
記録と参考のため付記すると、今回の診察料は470ドル。
深夜の人件費や血液検査(外部のラボに出す)のことを考えればリーズナブルといっていい気がする。
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